表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンカラス  作者: 白木克之
181/1722

決別 12名の戦士達

 こうして、もう何度もやっていれば、キャンプする小屋などあっと言う間に出来るのだった。材料は幾らでもあったし、ロープを創るのも大葉の茎の繊維を利用すれば、かなり頑丈で立派なものになる。そこにその辺の木々を使い、足場を組み、山切りの木を利用すれば、山切りの木自体が横に枝を無数に伸ばしているから、それを利用すれば、自然の要塞に早変わりになるのだから、簡単なのだった。大葉は非常に野外活動をする彼らに役だった。


「良し、これで一番ドームから最奥の監視小屋が出来上がった。こうした前線基地がどんどん出来れば、行動範囲も広がるし、安全も担保されると言うものだ」


 エライ班長の作戦は、理に適っていた。無用な体力を使う事は無いのだ。疲弊してはこの先持たないから、休息もたっぷり取る。

 この夜は、またドームより再遠隔地となった、前線基地と呼ぼう。そこでまた休息を取る事になった。猪の獣道と思われる周囲には、カイがある仕掛けをした。猪が象の道に飛び出さないように、ロープの塀をしたのだ。勿論、猪が突進すればその糸を通じて、こちらに音が出るようにした。どこか大昔の時代にそんな仕掛けがあったようだと、ランも話をしていた。しかし、その詳細が彼らに分かる筈も無く、自分で考案したものだ。

 こうすると夜間でも侵入する動物の経路が分かるのだ。そして、ロープに動物の毛が付着すれば、どんな動物かも分かると言うものだった。良く考案されているとシンもカイを褒めたのだった。

 この日は、夕方近くとあって灯りが無くては遠景も見えない。先の前線基地から更に2キロ進んでいるから、もっと先を夜が明けたら見る事が出来るだろう。この夜は、雑談もあったが、特に今後を左右するような大きな話題も無かった。ただ、山切りの木の下に大量に収穫した象の糞をどうするのか?と言う話題に集中したのであった。その使用目的等は、実際エライ班長も殆ど今は考えていないとの事で、大きく首を傾げるメンバー達であった。訳の分からない事に労力を使う・・行動に矛盾があるなと正直思ったが、象の糞が何かに作用しているのだけは、恐らく確実に違いないだろう・・。

 翌朝眼が覚めて、ランが山切りの木の枝突端まで歩いて立っていて、


「よう、ラン・・早起きだな」

「シン・・お前、どう思う?」


 いきなり脈路無く聞かれても、答えようも無い。


「ん?何がだよ」

「あの塔と言うのが、結構俺の眼にもしっかりと見えて来たぜ。あれは、どう思う?」

「お・・お前もかなりの遠目が利くんだな・・まだ推定実距離で5キロはあるだろう。塔と言う識別が出来て言っているんだろうな?勿論」

「おう・・少なくても3つの窓らしきものが見える白い建物だ。山切りの木の倍以上の高さは十分あるだろう」

「ふ・・俺の眼にもそう見える。リンならもっと詳細に見えるだろうがな」

「なあ・・人工物が偽山切りの木、そしてあの塔と、ドームのかなり近くで今見つかったし、今から探索しようとしている。けど、目的って、見ただけで分かるものなのかなあ」

「お前が企画情報室で得た知識では足りないと言うんだな?俺にも分からん・・」

「だ・・な。そんな事分かって行動している訳じゃねえ・・しかし、組織は確実に探している。つまり、そこに重大かも知れないものがあるからだろう」

「待った・・そこまで俺達が推理をしてくても良い。そんな立場では無いし、俺は正直に言うが、もう特命メンバーでは無いとさえ思っている。今はエライ班のメンバーだ」

「それは・・俺も同じだよ。この13人のメンバーは、本当にまとまっている。だから、ここまでやって来ている」

「シン君、ラン君・・・」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ