決別 12名の戦士達
「ん?何?」
怪訝そうな他のメンバーだった。
「我々も象の道に進むのが一番良いと言う話になった。そしてシンマップでは、そこから北西に少し斜めになるルートで約2.5キロ。この間の山切りの木が約15本、比較的多いんだ。他の木の間隔と比べてね。100M~300M範囲内である。ここなら塔らしき場所に到達出来る最も安全そうなルートなんだよ。いや、行くとしたらここしか無い。止めるのは簡単だが、諦めたくは無いと言う本音の言葉だ」
正直だとシン達は思った。やや慎重なカンジ以外は、賛成のようだ。そのカンジとても、絶対反対と言う立場では無いようである。それには、しっかりした戦略が必要であろうと思うし、早急に答えを出さなくても良いと思った。ここまでのルート構築までにもこんなに苦労して来たのだ。後続実動部隊があっさり?と撤退した事を見ても、無傷でここまでやって来た実績があった。
そこから綿密な相談があった。これは組織では無い。合議制だが、納得の行くまで話し合う。こんな予測もつかない野外活動の中で、危険を避ける事など不可能だ。しかし、その危険を、出来るだけ回避出来る手段を見つける為に、何重にも安全策を取る。それさえも、オオコウモリのあの大群の前では成す術も無かったのだ。だが、目的を達するまでに犬死だけはしたく無かった。組織が彼らを今裏切り者とは見ていないと思う。しかし、何の収穫も得ずにドームに戻れば、ニ度と野外活動などはさせて貰えぬだろうし、この選択をした事で、嫌疑の眼を向けられる事も必須だ。なら、実績を挙げて戻るなら、堂々と結果を出せば、上部も納得するのでは無いか?が、かと言って、今全員がドームに戻ろうと言う考えは、微塵も無かった。あの窮屈なドームの生活を、実動の達成感と比して天と地程も違うと感じていたからだ。カンジも、進む事を話し合いの中で決意したようだ。積極的に意見を出すようになる。
象が、この監視小屋までまた戻って来たのは3日後だった。3日掛けて自分達の餌場を往復しているようだ。また、大葉の成長は凄く早く、3日もあれば高さが2Mにも伸びる。これも生体武器同様に、バイオテクノロジーと言うものらしい、遺伝子を操作して、こう言う繁殖力の強い植物を、人為的に創りだしたのである。目的は分からない。しかし、実際にオオコウモリを防ぎ、*象以外の動物達を退けているらしい事は分かって来た。動物達は、大葉の生えていない場所をすり抜けて生活をしているようなのだ。
*実際には鹿も、大葉を捕食する事が後より分かってくる。鹿も遺伝子操作動物の対象だ。殆どの動物や植物は、この時代そのものの影響を受けているとも言える。
「こうして見ると、100年前の先祖は、大葉をどう言う意図で開発したのか、何か見えて来そうな気がするよな」
サテンが言った。
「少なくても人間に害を及ぼす目的では無かったようだ。実際に食糧になる」
「それは、肉食獣以外は、実際食べているんじゃ無いのかな」