決別 12名の戦士達
シンが突っ込んだ。好奇心が人一倍旺盛なランの性格を、やはりシンが一番知っていた。
図面を見る、エライ班長、シリマツ官吏、マコト副長の横で10人が結構スペースがあるよなと、簡易的に造ったにしては、結構頑丈で機能を満たしている監視小屋に感心していた。座る場所には大葉が敷き詰められていた。そのお陰で、蚊や虫などは一切入って来る事は無かったし、彼らにはその匂いが心地良く感じるのだった。ベッドにもなる。
「遊びじゃねえんだからさ、怒られるぞ、そんな事を言えば」
「良いじゃないか・・好奇心は必要だ。で?シン、3人の上司が検討をしているけど、何か分かったのか?」
寡黙なカンジが、ここは聞く。
「ああ・・ここから先にも象の道は続いている。結構歩くんだよな、象って」
「歩くよ、30キロ程度は移動範囲じゃないのかな」
ヤマイが答える。
「その象の道から見ると、離れているんだけどさ。俺が見たぼんやりとしたものを、リンに詳細を山切りの木の樹上で聞いて、紙にこうか?ああか?と言いながら描いた。それを今3人に見て貰っているんだよ」
「何が見えたんだ?いや、見せてくれるとは思うが、あそこの隅で3人がその地図を見つめているからさ」
ショウが今度は待ちきれない様子で聞く。サテンもウテンもシンを少し答えを急がした。
「ああ・・塔のような白い建造物なんだよな?な?リン」
「おう・・俺にはそう見えた。山切りの木とは明らかに違う」
シンが、リンに聞く事でより正確な答えとして説明したようだ。
「塔か・・人工物と言えば、四方網の所にあった偽山切りの木もそうだけど、100年前に色々建造されていた構造物の一つで、強烈な電磁パルスでも破壊されなかったと考えても良いのかな」
ショウが言うと、
「おいおい・・専門的な知識で聞かれても、俺達には答えようがねえぞ、ショウ」
「あ・・ふふ」
ショウにはそう言う部分がある。情報管理局と言う、シンやランより上の部署に所属をしていた者だ。そう言う情報や専門知識もあるだろうが、今はそんな話題では無かった。すぐ彼も素に戻る。
「それが、恐らく組織が探しているものだとしたら、遠いぞ、結構」
シンが言うと、
「え・・だって見えたんだろう?シンやリンが」
「あのな、俺は昔っから遠視って呼ばれていてな、通常4キロ先の物まで見えたら凄いって言われるんだけど、俺は6キロ~8キロ先までは見える」
「自慢かよ・・でも、すげえな、リン」
ランが苦笑いしながら褒めた。