最終章 シン達世代の終焉
アマンが言うと、ランも、
「はは・・相変わらず、切り返して来るよな、アマン婦人は」
苦笑するのであった。
「まあ、けどさ。このWCIが居なかったら、やっぱり人類は絶滅していたと思うし、北九州ドームを守った功績は認めなきゃ。それに大国の一角である、I国、D国が宇宙に仕掛けた大掛かりな計画も阻止したんだからさ。俺達には自分達が殻に閉じこもり、身を守るしか結局の所は成す術も無かった訳だからな」
「あの時先制攻撃でレーザー砲を発射していてもか?」
ランが言うと、シンは首を振った。
「ああ・・殆ど自滅だっただろうな?センサーがあった筈だ。それはそうだろう?打ったら打たれると言う戦争の想定であれば、そのレーザー砲を相殺出来る反撃の体制と防御、そして攻撃をも備えている筈だ。無数の砲撃が出来る相手に、たった5機のレーザー砲で何が出来るよ?確かにA国のレーザー砲は当時の最大出力量と破壊力を持っていただろうが、そんな強力な大砲も無かったし、膨大なエネルギーを使用する施設も無かった。何度も言ったが、ピストルとミサイルでは勝つとか負けるかの話では無い。それにしても例え数施設を破壊出来ても、星全体に攻撃出来る備えがあるから、連射されたらアウトだっただろうな」
「戦略的に見たら、そりゃそうだなあ、はは」
ランも苦笑い。こう言う総括は会えば彼等も口々にやっているし、シンは既にどこでもこのO大陸内で会議も出来るし、地球上空の観測を怠る事は無かった。再び大地震が間違い無く来る兆候があるし、火山の噴火、台風。また気象異常もある。再び深海から浮かび上がって来る未知のウイルスや、細菌類もある。北極、南極、氷河などから溶け出した危険な菌もある。それらをやはり防がなくてはならないとは言え、もう彼等に残っているのは、大葉、山切りの木、擬ガジュマルの木&ヤドリギしか無いのだ。医療を行える施設も消えた。移動手段はMFF3機があるものの、その中の資材も僅かだし、そもそもそんな大型機種では無いのだ。全長が7メートル程の円盤状のものだった。ずっと昔から、何度も試作され改造され続けて来た日本発のUFOそのものの正体がこれだったのだ。WCIは宇宙になどとても行ける代物では無いと切り捨てた。ケンシン部長も、自分のMRの限界を知っていたし、そのMRを遥かに凌ぐ乗り物だと認めているし、もう彼にはそんな開発が出来る手段も失った。一か所だけかろうじて残ったがらくたと称する小ドームで自分の好きな事をやりたいと希望しているし、コウタもキョウも既に亡くなっているそうだ、ランからこの日それを聞き、涙した2人だったが、多くの幹部達もここには居なかった。どこに行ったのか消息不明のままだった。




