最終章 シン達世代の終焉
「変わらねえな、ランもさ。太陽系内のあちこちに3機あるMFF機を操縦し、探索できるのは、リンとお前だけじゃないか。他の者も育てようと思わないのかよ。エイジは月に移住した後、ランが操縦して戻って来たがな」
シンが言うと、
「まあ、あいつの思うようにすりゃ良い。戻って来るつもりも無さそうだ。どうにか、地下施設の中で、僅かな研究が出来るスペースがあるようだし、そちらで余生を送りたいんだとよ」
ランの言葉にシンも頷き、
「やりたい奴は志願すりゃ良い。俺は募集もしないし、押しつけもしないさ。ケンのように、南極で住みたいなんて、変わり者はさておいてもさ」
「はは・・南極の地下は地下10キロの場所に大空間があったなんて、WCIが、日本なんて狭いと思っていた筈だよ」
「だよなあ、結局M国の生物群は殆ど消えたようだ。ただ、俺達にはもはやその詳細なんぞ分かりゃしない、電磁パルス爆裂脅威論が支配し、WCIが最後までやったように言われていたが、太陽フレアの一発爆発で、悉くそれまでの記憶媒体全てが吹っ飛んじまった。これこそ、原始生活に戻った訳だ。僅かにMFFに積み込んだ器具が残るのみだ。電源も、もはやシンが提案した電池式のものだけだからな。それも何時まで使えるかな・・はは・・ゼニゴケはかなり有用のようだし、Mシステムも気にはなるが、もはやそこに行く事も出来やしない。もう移動手段はMFF機だけになった。この永久的動力の発想は、ほぼWCIと同じだと言うがな、これでやはり太陽系以外の宇宙空間には行けないと思う。それに、殆どこれまでの通信すら出来無いしな」
「ああ・M国の話に戻るが、敢えて危険な場所でも無くなったし、恐竜にしても忽然と消えたんだろう、鉱物の粉としてな、あれって、何だったんだろうなあと、今でもそれは思うのさ」
「そこは抑止力だろう、少なくても何度もMシステムにWCIはアタックしていた。唯一破れなかったのは、MNシステムだと言う事だ。俺達は、戦争と言う愚も分かっているが、技術と言う面については、もっともっと人を育てる必要があったと思うのさ。夢物語のように、俺はこんな夢を最近良く見る・・人口がこのたった5年で以前の2倍になったぞ!人工授精も効果が発揮して来て、第8世代からは、自然繁殖も見られるようになったとな。はは・・そこで夢が覚め、現実に戻るのさ。俺達はまるで見えていなかったんだよな。和良方式をさ。今思っても、地球全体の国にとれば諸悪の根源だろうが、結局太陽フレアの磁気嵐で、A国、T国の物量による誤作動合戦だった事も明らかになった。和良司令官はそのゴミ処理をしただけだったんだよな。それには自分に代わる人材が居ないから、自分は死ねない。これをやらねばと言う使命感もあったのかも知れない。未だに極悪人なのか、希代のヒーローなのかは分からないままだ」
「あら、ラン隊長。それはあくまで前者でなくては、どんな方法であろうとも、やはり、命を粗末にするような根本は違うと思いますよ?」




