第25章 勃発
これは急遽の提案とは言え、言い出しっぺのアマンもそうだが、エイジも既に動いていた。その必要性も訴え、5人会議のメンバー達も一人一人説得にあたった。最後に残ったのは、
ケンシン、コウタ、神野元老、黒川主査の4人だった。この幹部達を説得せねば、シンは決定を下せない。しかも、もう期限は殆ど無い状態だった。イオペタスの動きも急激になりつつある。
シンは、ここで4人を集合させ、彼がずっと抱えていた丸秘情報を披露するのであった。
「首班、色んな者達に精力的に説得されているようですが、これ程の案件をただ急ぐだけでは、到底決定等は出来ないと存じます」
ケンシンの言葉は正論であり、至極当然の話だった。
神野黒服は、
「首班、君の真意はどこにあるのかね?この脅威は確かに座して死を待つ訳にはいかない、その論理も分かるが、敢えてM国及び、旧日本の中枢には攻撃も受けてはいない。いや、勿論今後受ける可能性は勿論大だし、レーザー砲等で攻撃されると、もはや我々の地球も終わりだ。その辺は、WCIと呼ぶが、こちらからの攻撃を受けていないと言う論理だけでは、納得出来ない部分だが・・」
それもその通りとシンは頷いたままで、反論もしなかった。そしてコウタは、違う論理で主張した。
「首班、君は何時も全く違う反論で切り返して来るよな。ここまで肯定するよう頷いているし、お2方の論理は、誠にその通りだと俺も思う。でも、君は何時も違う答えを用意している。何なんだ?ずばり聞くが、その隠し玉は」
「おいおい・・」
黒川主査が苦笑いした。コウタは、もうシンがここまで根回し終えているだろう真意を知りたいのだ。黒川主査もそう思っていたが、反対の立場は明確には取っていなかった。
「時間が無いと言う事はもうお分かりでしょう?イオペタスにも何等かの異常が見受けられます。また塔地下にあったあの大型飛機を2機知らぬ間に移動させ、それを動かして両星に対していて、WCIがその機に乗り込んでいるのかどうかも分かりません。遠隔操作を可能とするWCIですからね、この者は今更説明する事でもない、我々が知っている唯一人物だけです。また分身が居ても驚きもしませんが、客観的見方をすれば、これがそのままのシステムなんでしょう。コントロールシステムそのものが、宇宙に飛び立ったと見るべきであり、和良司令官はその為宇宙に飛び出す体を手中にした。しかも、自身の記憶媒体をその培養した脳に、ダウンロード、インストールしてです」
「やっぱり・・そう言う反論を用意しているんだな」
コウタはため息をついた。




