第一章 進の日常
「え・・そうなんですか、このたった1週間で」
「1週間では無いよ、そんな把握はとっくに出来ていた。つまり、君を企画情報室に配属したのは、君に少し情報を得て貰おうと思ってね、どうだい?少しは、今まで得られなかった情報があったればこそ、君のキャリアに生かせるものが、この企画書になったと見たんだが、それでも退任したいのか?と言う事の確認だ」
「い。いえっ!本音ではありません。それに、今豪主査の部署に配属だと辞令が出たようですし」
「そうか、なら問題が無い。退任する気が無いのなら、豪君、シン君を頼むよ」
「はい・・じゃあ、決まった。これから俺について来い」
「は・はい」
この短い会話が、シンの将来を大きく変えて行く。又、とんでも無い未来が待ち構えているのであった。
豪主査、文字通りシンの上司になるのだから、そのままエライさんと呼ぶ事になる。
「おう!ラン!」
シンは、この前語りあった、数少ない話が出来る同僚のランと一緒になる。
「やっぱりな・・何か、今回はそんな気がしたのさ」
ランが言う。相変わらず、真っ赤のピアスはそのまま耳からぶら下がっている。この組織においては、服装にはうるさく言われた事はなかった。そう言うシンも、短髪の赤色のメッシュ模様だ。ファッションと言う独特の風土は無いにしろ、どこからかそう言う服が満ち溢れていて、食事も服装も無料だ。そこがこの怪しいと、このエリア以外の者から眺めればそうなのだが、これで育って来た彼らには全くの違和感は無かった。
「君達は、同期だったよな」
「はい」