第24章 暴露された過去
この時、徹底してイオペタスの観測及び監視行ったのは、キョウだった。彼は知っての通り生物学者の第一人者である。そのキョウがどうしてこの観測に視点を向けたかと言う事も、コウタとほぼ同じような見解に至っていたと言う事になる。そして相棒は、植物学者のカイであった。このコンビも非常に珍しく、初めてタッグを組む事になったいきさつもある。素朴にカイが、動く植物って結構あるんだよなあ・・と言った事が発端だった。コウタのように分析の結果導きだした説では無く、彼らは、ここにヒントを見出したのである。
「やっぱり人型と言うか、金色の姿態のまるで人間様の存在はある。しかし・・南極の実体とは少し違うような気もするよな・・」
「そこまで断定出来るものは無いよ、キョウ・・しかし、共通項は相当あるとは思うんだがな」
「・・俺が違うかもって曖昧な表現で言っているのに、お前は否定の断定かよ、カイ」
「いやいや、そうじゃない。断定出来る材料が少ないと言う事を言っているまでさ、少なくても俺達は学者だ。だろ?」
「ふ・・切り返すじゃねえか。だが、その通りだけどさ」
キョウは苦笑い。彼らが観測をし始めてもう2週間経っていた。そんなに早く詳細が分かる程、容易いものでも無い。火星も地球も自転し、そして公転している上に、イオペタスの火星公転軌道速度は相当早いのである。
「なあ・・土星の公転軌道から離れてイオペタスは火星まで飛んで来ているけど、回転速度も恐らく衛星内部に何かの関連があるような気がするんだがなあ」
カイが言う。彼は超能力分野の一人だ。しかし、シン達5人組とは少し違うタイプと目されている。何が違うのかは分からない。そこは数字ではないからだ。これも感覚と言うのなら、そうであろう。
「俺に聞く?でもさ、自転のスピードと言うのは、例えば動力、内部の圧力の関係もあると思うんだよな、いや・・俺は専門家じゃ無いからさ、その部分を突っ込まれても返答も出来ないが」
「じゃあ、お互い生物学者、植物学者としての見解を示そうや。キョウ、室長としてどう思う?動く植物は確かに多い。そしてそう言う分野では、既に和良クラゲ等も登場しているしな、今現代俺達が見る全ての動植物には自然界で発生した物等は一切無いんだから」
「だ・・なあ。言う通り、俺は植物・動物を問わず、また粘菌においてもその遺伝子操作で、例えば機械的な構造は可能だと見ている。俺達の体だって、金属原子を既に取り込まれているしな、再生細胞等その根源たるものだよ」
「自己完結、オートファジー方式もあると言う事で良いのか?それは」
「オフコース・・それらを俺達は見て来たんだ、この眼でな」
キョウとカイは互いに頷きあった。やはり切り込みは若干コウタとは違うが、同じような見解を2人は示したのだ。




