第24章 暴露された過去
「いやいや・・早計だ。確かに南極は各国が競って基地を構築していたし、もう20世紀以前からだろうが、それでも地球大事変においては大ダメージを受け、氷山が崩れ、エレバス山が噴火し、今も活動中だ。その為氷河が溶け、大洪水を起こした。更に電磁パルス爆裂と同時に、殆ど各国の南極基地などは消滅しているんだ。その中で、活火山は地下2キロ付近に140もの数があったんだよな。その噴煙は、今も氷を溶かし続けている」
「南極の全て、それは西に集中しているだろ?地軸が変化した事で、今は南南西に位置している」
コウタが反論する。つまり東側は、この施設が地下3キロの地中深く存在していたと言うのだ。それも確かめられている。
「だから・・何だ?」
シンが言う。もうすっ飛ばしても良い話は、聞きたくも無いのだ。正直、シンは続いて来た会話を重視する事より、現実論を、もっともっと直視したいと思うようになっていた。勿論、入れ替わり立ち代わり会話の相手は違っているし、重要では無いとは言っていないのだが・・ケンシンは、ここで他の用事があると退出して行った。どうやら、ダンと行動するようだ。会話に参加しに来たのでは無く、その報告に来た模様であった。コウタが残り会話が進行する。
「AIもしくはそれに近い装置が南極に残っていると言う事だ」
「お前がそう言い出すとは思っていたさ、じゃあ、お前の言う根拠を示せ」
シンは、コウタが調べた事を言えと視線を向けた。コウタは、そのシンの眼が何時ものように澄み切ったものであったので、静かな口調で・・
「ああ・・まず、どう考えたって和良無線光ケーブルが一端暴走し始めると、止まらないような代物では無いだろうと言う疑問だ。こんな事が、もし宇宙事変的に起きて見ろ、この世界と言うのは、幾ら大天才であってもたった一人なんだぜ?そんな微々たる存在にも満たない宇宙の散りにも等しい、或いは満たないそんな人間が生み出した?それが今宇宙に無線光ケーブル網を展開している?牛耳っている?どう考えても馬鹿げた話なんだよ」
「ふ・・何時もに似合わない論調で語るじゃねえかよ」
シンは、にこりとした。アマンもエイジも同じ視線だった。




