第22章 動く、とうとう世界が・・
「俺達はもうM国の生体と、瀬戸内海研究所の事でほぼ解析も終わり、同じ細胞・DNAだと一応の結論を出している。しかし、ペンギンを分析する事は、和良司令官が関与した様々な痕跡を更に証明する事になる。だろう?」
「ああ・・」
「全ては時系列的に見ていく必要がある。そう思い、俺達が旧ドームから地下道、鉱山道まで辿った頃より記録して来た事と、遭遇した全ての動植物に対しても検証して来た。それが俺の役目でもあるからな。電磁パルス爆裂の事もだ。何故20年間もそれが続いたかの謎も含まれている。丁度、部長ともその事を共同で研究して来たし、副首班もケイジも一緒にやって来た」
「そうか・・皆は見えない部分で色々やっていたんだなあ」
「そうさ、首班、お前が目まぐるしい程色んな分野で目を配らせているが、俺達はマルチな人間じゃねえからな。出来る事を一つずつやって行くしかないんだよ」
「ああ・・お前達が自分の持ち得る分野で考察した事は、全て俺達の身になっている。助かっているさ」
シンは改めて感謝の意をキョウに伝えるのだった。そして、連携も眼に見えない形で出来ている事も、この言葉で確信出来たのである。もう言う事は無かった。
そこはエイジもアマンも、2人で1人分の働きが首班の参謀としての働きが出来たら良いなと思っていた。十分過ぎる才能を持つ2人だが、あくまで前に出る立場では無い。そこは弁えているつもりだ。
そして、また3人になると、今度は軽い食事をしながら、緊張していた間の体と心をほぐすのだった。シンは言う。
「何はともあれ、このM国防御網は、和良司令官同位体のジャブかどうかは分からないが、その攻撃をストップさせた。俺達は、何もしていないし、実際何が出来る訳でもない。ここへオオコウモリは虚像で登場させているが、見破られているだろうし、蝙蝠群も全くそれには反応もしなかった」
「はい・・」
彼等には、既にまやかし等を用いても全く通じない相手だとの認識は出来ていた。それはそうだろう。和良式無線光ケーブル網とは、そう言う情報収集を用途は他にもあるのだろうが、分かっているだけでも主とした目的で製造されたのだし、それは、もはや消滅や停止も出来ないものなのである。
アマンは言う。




