第22章 動く、とうとう世界が・・
「ふう・・断定だとは誰も言い切りする事なんて出来ないよ、蝙蝠群には超音波攻撃が残っている。それを使っては居なかった。ただ、俺が食らった音弾のような攻撃は確かにあったようだが、それを食らってばらばらになった個体を同族が食い、体を強化し、でかくなった。また半分に体を切り裂かれても分裂するなんて、こちらも確かに俺達はもう他の生体で確認している。つまり、そう言う遺伝子を組み込めば、幾らでも増殖可能だし、不老不死のオンパレードを見ているようだよ。俺達はこんな敵を相手にしているんだって、益々絶望的なものを感じると共に、逆に今までの経験はちっとも無駄になっていない事も実感するのさ。俺達は前を向ける・・そうだろ?」
「おう、良くぞリン、言ってくれた。だが、蝙蝠を食ったペンギンが死んだ所に何かヒントもあるかも知れないな」
ダンが即座に反応した。彼等は確かに驚愕の現象を目の当たりにしてはいるものの、その闘志は微塵の揺らぎも無かったのである。そして、ペンギンとて究極・完全の生体武器では無かった事も意味する。少しは安堵したものの、流石にこの相手にどう対処すべきかは分からないのである。だが、ダンが、リンに言った言葉が大事なのだ。それはシンがここまで仲間達と無数の会話や、知恵を出し合って経験して来た事全てが養って来たものなのだから。
ここでエイジが言う。丁度この場に居たのは、リンとエイジが南極からO大陸の監視に変わっていたからである。南極のペンギン達が全てO大陸に移動した訳では無い。ただし、その南極に残ったペンギンの様子は、彼らが知る前時代からの動きとしか見えなかった。O大陸に移動したペンギン達とは明らかに様子も違っているのだ。ただし、電磁パルス爆裂後南極と言えど、その例外では無かっただろう。ペンギン達だけが無傷で生き延びている理由も見つからないのであるが・・。
アマンがぽつりと言う。誰もそんな事をぼんやりと思っては居たが、この緊急時に口に出してはアンタイミングだと言う事も無かったが、和良司令官同位体が一端停止した事とイオペタスにランがレーザー砲を撃ち込んだ事で、一端この状況は沈静化に向かっているかのように思えた。両星は再び火星の公転軌道上に知らぬ内に戻ったようだ。何がそこで効果的だったのかも限定的なもので、誰も分からない。
「つい最近の事に勿論なりますが、南極の厚い氷の下、又北極海に近い永久凍土、氷河の中に数万年も閉じ込められていたバクテリア等が活動し始めた痕跡があります。何も食さずとも深海の熱水鉱床付近の甲殻類や、貝類などは体内に食用バクテリアを繁殖させ、それを栄養分として摂取する個体が居ます。そう考えれば、ペンギンが生きられるのも理解出来ますわ。どう見ても2種の個体が居ると思います。回収は可能ですか?」
「え・・どちらの?」
「南極と、再生出来なかった個体がどうもいるようですけど、また肉片になった個体もです。欲張りですか?」
「いや・・それは俺が本来分析せねばならないようだ」
コウタが言うと、ケンがそこに来た。まるで以心伝心のように、




