第22章 動く、とうとう世界が・・
「え!ええええっ!」
余りにも予想だにしない展開に、驚くシン達。そのペンギンの一羽は体を半分に切り裂かれて落下して行った。
「あんな、攻撃力が?どこでペンギンを切り裂くような部位があったのだろう」
蝙蝠を分析していた彼等には、理解出来ない事だった。第2波、第3波が続く。次々と空中を選択したペンギンは落下して行った。だが、驚く事はここでは勿論終わらなかった。落下したペンギンをペンギンが食い始めたのである。
「嘘だろう・・ペンギンに歯なんて無い筈」
「分析では良く分からなかったそうだが、嘴の裏に歯を収納する部位があるのかもな」
「ああ・・どうかは分からないが、飲み込むならともかく咀嚼しながら食ってやがる。同族食いは白頭の時に経験もしているから、そこは驚かないが、俺達が知るペンギンとは全く異種だ。しかし、蝙蝠のこの攻撃力は何なんだ・・それにこのペンギンは・・」
その言葉を発している瞬間に、今度はペンギンが垂直に飛び上がる。体当たりした蝙蝠が、ぐしゃ・・そんな音がして、地上に体を潰されて落ちて来る。
「うお・・高速で飛び回る蝙蝠に体当たりをして、体を潰した・・すげえな・こっちも攻撃力があったんだよ」
「あるわな・・生体武器として開発されていたのなら、当然何か武器や手段がある。これじゃあ、どちらが上か下か分からねえぞ」
「いやいや・・上下等もう関係無い。彼我の力の差、数の差になるのでは?」
彼らは、めいめいにそう話すしか無かった。何も出来ないし、今彼等の闘いにどちらに援護をする訳でも無いからだ。
その時、空中に声が聞こえ、和良司令官同位体が現れた。そして・・
「おやおや・・なかなかの攻撃力、反撃力だ。だが、惜しいな・・蝙蝠には再生力が無いのかな」
「な!」
シンは、心底背筋が寒くなった。悪寒が走る。まさしく和良司令官その者の声だった。もうこれは完全なる同位体が復活していると見て間違い無いし、目的が勿論M国に向かっている事も知ったのである。
だが、今回の事はこれだけでは勿論終わらない。予想出来ない連続であった・・。




