第22章 動く、とうとう世界が・・
「来たあっつ!」
騒然となった。O大陸に、イルカならず、複数のペンギンの背に乗った和良司令官同位体が金色の薄絹をまとった姿で、この距離を1週間で到達したのである。ペンギンはO大陸にそれまでも続々と終結しており、もう数千、数万匹の群が到達していた。そこへ、更に数万のペンギンと共に、上陸したのであった。その間、イオペタスにも動きが活発にあった。
南極から、レーザー砲らしきものがイオペタスに撃ち込まれたのである。そして、CU11にもである。そして、事実上、両衛星の活動が停止している。この事を持って、和良司令官同位体が両星には関与していないどころか、完全に敵と見なしいている事が分かった。だが、この衛星のシステムが壊滅的被害を受けたとは報告を受けてはいない。また、何故かM国内の蝙蝠群が一ヶ所から上空に飛び立ち、どこかに向かっている。シン達は追跡もしているが、本来M国防衛の為にこの存在があるのでは無いのかと思っていたが、違うのだろうか。犬達も何かを感じるのか、そわそわ落ち着かなくなっている。これは、異変を感じていると人間より遥かに鋭敏な感覚がそれを教えているのだろう。
ケンは、シンに報告に来た。
「犬達を、とにかく地下に入れた。日本の基地群も既に地下に活動拠点を移したし、どうにかウテン、カンジ発案の海中ドームも良い感じだ。動物達もそれぞれに相当数移動させた。ただし、オオコウモリ群がそのままだし、T国森林もそのままだがな」
「和良司令官がT国と裏密約があった証左だと思いますし、事実5博士を自分の部下と言うか協力者にしていますもんね。つまり、そこに手出しをするなと言う警告だったのでは?レーザー照射については、ラン班長もいますよね?警告の意味で。イオペタスについてです。ただし、CU11の金色の生命体は、和良司令官同位体と被ります。その辺が読めていない部分なんすよねえ」
「イオペタスでも居たがな」
シンが言うと、
「確かに・・しかし、一回だけだったようだが・・?」
首を傾げるケンだった。シンは、
「とにかくだ。動向は常にキャッチしているが、MRへの攻撃は今の所確認されていない。勿論監視をしているのは、忍者被膜ってリンが名付けている特殊塗料の塗布機だが、ふふ」
「でも、動きが活発にあった。動物達が異変を感じていると言う事は伝わって来ています。首班は、何か感じている部分があるんでしょう?教えて下さい」
エイジは切れ者だ。シンの内面を読んだのだろう。




