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シンカラス  作者: 白木克之
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第21章 脅威の相手

「今、俺達はとんでも無い現実に直面し、あたふたとしている。正直、俺達には信じられない事ばかりの連続ではあったが、それでも今の現象は、宇宙の衛星すら動かしていると言う現象だ。そんな科学力を有した先人と、まさかのまさかであり、更にまさかの、俺達の眼の前から消えた筈の和良司令官の亡霊が再び蘇った事だ。こんな事までやる先人に対し、今回は、はっきり敵だと認識をしなければならないし、感情を1ミリも持たない相手には、どんな説得も通じはしない。俺達は、しかし、逃げる事は出来ないんだ。先祖が俺達をこの世界に遺したのならば、精一杯生きねばならないと思う。いや・・死ぬのは、リンやエイタも言っていたよ、近代戦争とは一瞬で終わる。つまり、消滅する事なんだとね。だが、このM国をもう1年以上見て来て、先祖が何を考えていたのかは、何となく分かった。彼らは生き延びる為に、地球に生命を遺す為に行動していたんだとな。俺達は、それを確かに脅威と捉え、且つ畏怖し、敵と認識して来た。しかし、その対象が俺達を最初から敵視して攻撃した訳では無い。その防御網に俺達が触れたからだったと、ようやく分かったんだ。俺は先々言うようだが、敢えて今見せて貰った事を自分なりに分析し、そして判断を下さねばならない立場だ。だから、許せ」


 コウタが首を振った。


「いや・・許すも何も、俺達は・・」


 キョウが、


「そうだった・・俺達は驚いている場合じゃ無かったんだよ。主査、君の本意を伝えるべきだ。応用学と言うが、そこから生み出し、考える力を先祖は遺してくれた。或いはAIに置き換わった世界から、人間の手に取り戻してくれたんだと俺は思う。何もせずに俺達は死すべきでは無い。どうしようも無い敵であろうとも、果敢に向かう気力は失ってはならないと思うからさ」

「はい・・力強いご決心とご意思に感服致します。私なりに考えた事は、シリマツ官吏が隔離されていると演出したA国シェルター内こそ、更に補佐の策を用いるべきです。つまり、T猿人のこのように複製細胞が可能なように、シリマツ官吏別個体を我々も用意すべきだと思います。期間は1か月以内にです。それ以上は出来かねますが・・」

「つまり、南極に居る和良司令官同位体と違うと言う組成で、別個体と君は表現したが、その奪取をさせる為にかい?」

「そうです。そして、恐らくようやくそのシリマツ官吏の存在によって、我々が持ち得る細胞の存在を知る事になるでしょう。ただし、和良司令官同位体が、我々の知る和良司令官のような考えに至るかどうかは分かりません。しかしながら、このT猿人はその為にも必要でした。何故ならT国森林こそ、和良司令官が意図を持ち、再生させた森林だからです。当然、イオペタスからの阻止に動くと思うのです。私は、先にT国ドームが破壊されたからこそ、こちらが先に動くと見ております。後は南極にどんな仕掛けがあるのかまでは私には想定出来てはおりませんが」


 シンは小さく頷いた。


「とても、君は策士だねえ・・改めて思うよ」

「ちょっと待って・・その策は、既に南極でイルカが空を飛んだり、猛スピードで動く事に関連してくるのかい?それに、未だにCU11が、どこの国なのか、分かっていないと思うんだが」


 コウタがここで言う。


「こっちは、和良司令官が仕掛けたと言った筈だが?疑問があるってか?」


 シンが問う。


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