第21章 脅威の相手
「行って来い。俺達は、気を抜く事が出来ない。隊長、ラン、エイジ、ケイジ、ショウ達も交代しながらも頑張っているし、部長も5日しか持たないようだが、少し改良を加えたγSRと言う機種をどんどん生産し、CU11やイオペタス周辺に送っているようだ。俺達も常に情報は仕入れているし、このM国だからこそ、お前は選んだんだよな?ここには無線光ケーブル網では無く、有線光ケーブルを持って来た。つくづく思うが、首班、お前の先読みと言うか、その考えは遥か俺達の先を行く。幸いにもさ、俺はこのエイタの分析力はお前を凌ぐと見ている。ここは、とにかく任せてくれ」
「おう・・頼んだぞ」
シンもそう言う情報は耳入れているし、エイタもそう言う種の者だと言う事も会話で分かった。一瞬で記憶出来る能力があると言う事だ。その上で分析力も群を抜いていた。この男がリンとタッグを組めば鬼に金棒であろうと、シンは日本古来のことわざを思い浮かべるのであった。ここへ来て、1枚には2枚。足りなければ枚数を重ねると言う事がどれだけ大事で、強力になっていくのかをシンは学びつつあった。シンの横に左右にエイジ、アマンが加わった事も大きい。そして、マコトには有能な策士、知力が居る。どうやら、ケイジがその役になりそうだ。ダンはもともと優秀な男。この男だけは自由に動かした方が良い。フリーな立場で・・こんな中でもシンの脳裏は高速回転するのであった。
「急遽お呼びして申し訳ありません」
アマンが言うが、緊急事態は継続中だ。喫急の用にトップが駆けつけるのは当然だ。
「補佐と室長が一緒にここに居るな・・何かやっていたのか?それも3日と経っていない中でさ」
シンが、一体そんな短い間に彼等は何をしたんだと言う問いだった。
「ずっと、研究は続けておりました。ご存じの通りです。ですが、最後の一線をどうしても超える事に躊躇しておりました。画期的にÅの採用によって、またショウ班長の素晴らしいプログラミングにより細分化出来たデータを、ラン班長の大型記憶容量を誇るA国のデータベースとカード式のこれも、大容量の記憶カードを利用する事によって、恐らく旧新古代のAIにも匹敵する容量だと思います。反面、この和良無線光ケーブルを通じてやりとりしていたサーバは、急遽停止されました。よって、旧有線ケーブル及び、カード移送方式のやりとりになっております。これはご指示通りにて」
「ああ・・急遽だが、まさか南極に和良司令官同位体が存在する等夢にも思わなかったからね。それもシリマツ官吏がデータを飛ばした事で判明したものだった。よく隠密裏に処理してくれたものだよ。それに高速移動をγSR方式だと、殆ど光速の3分の1の時間で運べるからね。よくぞ、この機種の開発もやってくれたものだよ、部長が」
「何か・・我々の動きは、何かに対して連動しているように思われませんか?まさにそのタイミングだった訳です。この変異細胞も」
コウタとキョウは、半場放心状態のように今回は黙ったままだった。アマンの研究とは言え、何時も喋りたがるコウタが黙っているのだ。




