第21章 脅威の相手
「粘菌の事は誰も分かりません。しかし、雌雄では無い性分化が1000以上も存在すると言う事は、両性であろうと、又片性であろうと、繁殖出来る方法はそれだけあると言う事です。そうですよね?補佐」
「あ・・ああ・・恐ろしい話だ。身震いが止まらない」
「もう一つ言えば、そこに死等存在しないと言う事です。体が砕けようが、切り刻まれようが、そこから復活・再生出来ると言う事になります。これこそ究極の生命体でしょう」
「恐ろしい話だ」
キョウも言うが、ケンシンは、
「それは誰もが思いますが、例えば、薬品で焼かれたり、絶対零度で凍結しても動けるとは思いません。細胞であるからには当然ですよ」
「組成も今分からないのにですか?」
それでもコウタは反論する。
「今はでしょう?諦めるのですか?」
ケンシンは強い口調で再反論すると、
「い・・いや・・。早急に見つけねばなりませんよね、それは」
「ですよね、それをやるのが我々では無いでしょうか。首班お一人にこれ以上ご負担をかけられないですよね」
黙っていたダンが、
「俺がもっと気を配るべきだった・・首班は相当痩せていたよな」
「あ・・俺・目先の事ばっかり」
コウタが、気が付いていなかった自分を責めた。
「いや、皆頑張っているさ、シン以上の者などどこにも居ないからな。俺達は自分の出来る事をしよう。主査・・どうすれば良い?今や、君が一番良く現状を分かっているだろうからさ」
「あら・・私が命令を下す立場にはありませんわ。でも、皆さんは分かってらっしゃると思うんです。どなたも号令を出す際には躊躇をされます。でも、切羽詰まった現状の中、判断とは瞬間で結果が決まります。今はそう言う状態じゃ無いんでしょうか?隣の部屋ではリン班長が、微塵も隙が無いように集中しておられます」
「そうだよな・・そうだった。じゃあ、今思いついたような話でもあるので、駄目なら破棄してくれ」
コウタが珍しく、閃きの発想だと切り出した。




