第21章 脅威の相手
「おお・・これは」
彼も絶句する光景が広がっていた。画面一杯に、南極に現れたのは金色。薄絹の正にレンジの姿そのものだった。だが、シンは和良司令官だとは断定していない。同位体と表現しているのだ。何故か・・
「レンジそっくりでしょう・・でも、体組織そのものがまるで違います。何度も何度も南極に移動した筈なんですよね、そして、コピーと言えば大げさなんですが、生体プリンタで25歳頃のデータをプリントアウトする・・と、言っても人間の体を簡単にプリントアウトも出来ないので、25Dプリンタと言う特別な機器がここに持ち込まれていた。地下200Mの場所にです。そこで、半年を費やして体が完成する。また脳等は本来コピー出来たとしても、それは記憶そのものも消去されるから、完成した時点で自分がその時には既に40歳後半を迎えているから、生体と並び、脳内記憶を人工細胞で繋いで行く。そこから記憶やこれまでの経験やら何やら、全て移行した段階で、自分の現在の姿は冷凍保存される。シリマツ官吏はこの方法によって、和良司令官の40歳後半の体に、培養された脳を移植され、マイクロAICチップを埋め込まれ、知識を詰め込まれる。既に他人だが、体は40歳後半のまま・・だが、これも同じ方法を繰り返せば、何度でも人は生まれ変わった状態と同じ。こんな方法があったんですよね。主査と一緒に見て驚きました。これを補佐に言えば、大騒ぎになる。その情報をいかに知られたかと、またこちらの探索をされる。だから、黙っていたんです」
ケンシンが言う。
「私・・ここへ来ては駄目でしたか?」
「いえ・・丁度良かった。見て下さい。きっと部長に参考になるものがここにある。今俺達が見ているのは、粘菌の組織を持った究極人間であり、再生無限の生命体だ。永遠に年を取らない。だって、老朽化すれば体なんて無限にあるし、そこからコピー出来るんだから。でもね、これは和良司令官では無いんすよ、だから同じ考え、同じ思考をしたと言え、同位体なんす。ここでは寒さも感じ無いし、宇宙空間に行っても無呼吸でも半年は生きられる。こんなもし生体武器があれば、俺達は到底敵わないっす。でも、完成しちまっている。もはや、阻止なんて出来はしないと思うんすよね」
「日本に攻撃をして来る事は?南極にその武器はあるのですか?」
リンが、
「今ずっと見ているけど、武器は無いようっす。ただ、周到に計算された中に、F国のイオペタス戦闘星化は、実際驚いているようっすね」
「会話をしているのか?じゃあ、南極には他にも人が居るのか・・」
シンが問う。




