決別 12名の戦士達
シンには良くその言葉が分かった。一番死に直面して来た男だからこそ分かるものであった。精神に破綻をきたし、おかしくなった実動班は多数居る。しかし、彼らには自殺と言う手段は教えて貰っていなかった。死ぬ時と言うのは例え見えない敵であろうとも、相手から攻撃を受けた時と、寿命が尽きる時だけだった。
「それでは、既にこの集団が生きている可能性は無いと言う事ですよね?」
「ああ・・恐らく皆無だろうし、集団を放棄して、単独で生き抜ける程自然は甘くは無い。我々だってそうじゃないか?」
「はい・・」
その通りなのだ。大事な事を教わっているような気がした。少なくてもこのエライ班長、シリマツ官吏は今までの上司とは全く違っていた。
続けて、こちらの岩山から何本もある坑道の一つから、第2通路に続く道が発見された。これは岩山からで無くては発見が難しいものだった。そして、今までの仏具や、発見された装具とは全く真逆である重火器が大量に見つかったのである。
「こ・・れは?」
驚くシン達だった。エライ班長が言う。
「恐らく・・旧時代の戦争時のものだろうね、防空壕ともなっていたのだろう」
「それは数100年前の大戦と言う事ですか?」
「そうだと思う。相当古い戦争の武器だ」
「ですが・・こんなに保存状態が維持されているとは、不思議ですね。見た眼でそのまま使用時のままここにあると思うんですが・・」
「そうだねえ・・謎だが、この鉱山の坑道自体が、湿度も無く、無風。そして仏具にしても又、遺骨にしても、殆ど朽ちていないんだ。何かそう言うものがあるのかも知れない。鉄だとドーム内でも数年も使えば錆びが出る。しょっちゅうメンテナンスが必要なのに、遺骨よりもっと古い時代の武具がそのままの状態で残っているのは不思議な事だよ」
「じゃあ・・俺達が調べている価値がある訳ですね?」
「勿論だ・・発見された第2坑道を使い中央広場に運び込もう。これは、何度も時間をかけないといけない位だなあ・・相当の量だよ」
最もこの探索で今後の事も含めて大きな発見となった。興味を示したのは勿論ショウだった。カンジもそれに加わった。この武器が例えば使えるのならば、大きな武器になるかも知れないのだ。機関銃と呼ばれるものもあった。ショウが説明する。
「これは、16式村田銃 50丁、38式改狙撃銃 300丁、22年式村田連発銃 30丁、ニ式小銃 500丁、弾丸、弾薬等無数・・数100箱にもなる、恐ろしい量だよ。中隊の人数以上は十分にある」
「むぅ・・ここで本土攻撃を迎え撃つ覚悟で隠したのでしょうか」
「あるいは、そうかもしれないな。でも、宗教の団体とは全く無関係だろう。彼らには一切こんな武器などは無かった。供物や奉納した短刀や剣はあってもな、それに作りにしても精巧だった」
「ですね・・」




