第20章 脅威がついに
「さて・・ここから分析を致しましょう。答えたく無い事は答えずとも構いませんが、今の貴方の応答では、殆ど十分な回答も得られないでしょうしね」
「じゃあ、止めよう。私とて、とても不愉快な時間であるからね」
シリマツ官吏は、撃てば響くように答えたが、当然ケンシンには目的がある。この程度の拒否では全く動じる事も無く、
「まず、そう言う応対には、ある意図が見えます。意識的に通常の会話をただ聞き流しているだけであり、さも貴方は正当なスタンスに居ると主張していますね。重大な犯罪者であるのですよ?お分かりでしょうか?」
「ふ・・だから、ここへ収監されているんだろう。確かに牢と言う過去時代の犯罪を犯せば、窮屈な部屋に閉じ込め、制約をぎゅうぎゅうにした上で、思想的な矯正を押し付ける。それでは無いとは言え、私には生涯ここから出る事は無いのだから、同じじゃ無いのかね」
「それは、貴方が悔い改め、最近でも和良司令官を模したグループが彼が復活したと思わせる騒ぎを起こしました。だが、彼らは反省をし、逆に組織に有益なメンバーにもなり、各班に加盟しています」
「知っている。変装は見事だったがね・・くくく」
「笑えますか?はは・・そこで笑えますかあ・・」
ケンシンが呆れたような顔になった。
「何だね・・芝居の下品さに笑ったまでだよ。そこは」
いちいちシリマツも即座に反応をしている。アマンはまたその会話をチェックしていた。
「シリマツ官吏の射撃は見事だったそうですね。どこで習得されました?」
「一応・・私も実働班メンバーだ・・何か?」
「いえいえ・・訓練は受けていたと?では・・どこで、誰に?」
「黒服のメンバーが1Aとか2Cとか言われていたじゃ無いか。実働に出る以上、色んな訓練は私が指揮側であろうとも受けるだろう?」
「はい・・そこはスルーしましょう。時間も押しましたね。どうしましょう?休憩でもしますかね」
ケンシンは、いきなりそこで会話を切ったのだった。
シンとアマンはすぐ、ケンシンに・・
「成程・・狙いは十分に分かりましたよ、部長。声紋・・これは完全に和良司令官に一致します。即ち本人と言っても過言では無い。だが、話し方は全く違う」
シンが言うと、アマンは、
「かなり痛い部分をついたようですね。シリマツ官吏を指導した教官等存在しませんから。射撃は自分でやれるのでしょう?だって・・」
「ストップ・・主査。そこは今公開してはいけない」
シンが止めた。




