第19章 進むべき方向
「いえ・・反重力、また地球上の引力の影響を受ける全ての動植物は、宇宙空間においては、その引力の影響を受けません。そこで、宇宙時代には地球上と同じ引力を自身の体が万有引力によって得られるそのものが質量と比例しますから、引力を得ようとするなら電磁石と同じ原理を持てば、得られます。それがMRの方式と同じ考えです。一方重力は遠心力によって得られるので、MRが回転すると言う事は、その影響で外に向けて引っ張られます。その原理の事を言われているのですね?補佐は」
「理系の言葉ですね・・難解な事をすらすらと・・でも、何となく、イオペタスの自転が速くなって、また遠心力のような重力が働き、土星の公転軌道か離れた事は、分かるような気がするよ」
シンが少し小さく頷いた。
「何となくだが、補佐の言う事は分かった。すると大きな電磁石を作り出したか・・」
ランが今度は言うと、コウタも頷き、
「概ね俺が言いたかった事は、そう言う理解で良いと思う。乱暴な結論に見えるが、地球上の人間が全く異質の宇宙空間、また異住空間を確保するには、それぞれに相当の情報収集と言うか、そう言う部門が発達せざるを得ない。そこからオリジナルをそれぞれにAIが作り出して行くと言うのが、近古代のやり方だ。だから、俺達は今更そんな事で驚く必要も無いだろう?」
「補佐・・じゃあ、お前が言うのには、その人工衛星が意図を持ち移動している。この100数十年の時を経て、恐らくは地球回帰を目指していると言う事か?また月面でのA国の活動停止、地球上の安定化も理解している。と言うのは、俺達には何の情報も与えられていなかったが、土星まで進出した謎の国があったと言うんだよな。そして、そのイオペタスには操作出来る高度な文明を持ち得る人類が居ると」
「オフコース・・じゃなきゃ、こんな事は起きない」
コウタは断言した。
「むう・・」
キョウもケンシンも腕組みをする。かなり険しい表情だ。
「だから、調査を徹底すると言うのが、一貫した補佐の考えだが?今以上の何を求める?それを聞きたい」
シンが静かな口調で言うと、




