第19章 進むべき方向
「大陸の東部に近いけど、ほぼ中心部ですが、どう見ても施設のようです」
「良し・・確認に行こう。リンとケンを連れて行く」
しかし、報告した、マイカは、
「お待ちください。首班が出かけられる用件なのでしょうか?まだどんな施設であるかの詳細すらも分かっておりませんし、危険も十分に」
「ああ・・分かっている。ただ・・こう言う時には、何か感じるんだよ。これは行かなきゃってさ」
「自分がどうこう言える立場でもありませんが・・でも」
マイカは女性だ。そして、彼女も優秀なスタッフでもある。そのマイカは、その後、止めるべき力が今最もあるのは、アマンしか居ないと相談をする。アマンも驚き、そんな事は聞いても居なかったと、
「それは・・首班のご性情を少なからず存じ上げていると自負している私でさえも、驚くべき行動ですね。他の幹部の方々には?」
「副首班に報告しました。丁度トライアングル会議の途中でした」
「まあ・・そうだったの。部長は私と会議をしておりました。イオペタスの件でしょうけど」
「そうですか・・私は、南半球をずっと担当していましたので」
マイカがその事を告げると、すぐケンシンはβMRを数十機南極に飛ばしたようだ。アマンは、ケンシンと会議に戻る。そこへエイジも参加した。
「・・成程・・イオペタスの、異常であり得ない土星から公転軌道を外れる航跡には、かなり色々検討事項があって、俺もそっちに集中していた。南極はこれまでも観測はしていた筈だが、重点的にはやっては居なかったよね。地下通信路も無かったし」
「そうなのよ、構造物が確認されたと言う事で、データを今更に集めるため、部長もすぐβMRを派遣してくれたのよ」
「βMRって、陸海両用の新鋭機っすよね」
「ええ・・まあ、はい」
ケンシンは何時もながら、淡々として自分の開発を自画自賛したりするような事は無い。これは、今宇宙用MRが開発出来ないかと言う素材に最も適合しているのでは無いかと言われているが、何時もなら殆ど即座に開発しますと言う部長が、宇宙用素材は現時点で難しいと答えているのだ。その理由を明らかにしてはいないが、何か引っかかる部分があると、アマンは見ていた。




