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シンカラス  作者: 白木克之
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第19章 進むべき方向

「ここは、是が非でもこのイオペタスの現状を観測せねばなりません。月にある天体望遠鏡や、月型MRなどは改良不能でしょうか?」

「・・宇宙航法的に、やはり先人達の素材開発には学ぶべき点が多々あると思います。その上で、火星までなら恐らく現MRなら持つのでは無いかと言う考えも御座います。ただ、監視するとなると360度包囲カメラや、MR駆動の回転数の制御等、我々が今まで数秒の中で制御出来ていたシステムが、分単位、1時間単位になってしまうと、どうしても咄嗟の危機回避が適いません。その為、各国は宇宙ステーション或いは、人工的な衛星を各惑星に飛ばし、そこからAIで監視・制御出来るシステムを構築していたのです。幾らラン班長やショウ班長が優秀であろうとも、AIは既に無く、これらのソフト等の準備も必要ですが、無理だと存じます。ただ・・今私が言うように、例えばM国の『対象』が、その受信機の役目を果たすものであるのならば、そう言うものを先に製造すべきでは?もう一つ言わせて頂ければ、形状記憶と言う鉱物変異的役割を現素材に組み込めれば、それは可能となります」

「なるほど・・貴重な意見っすね。では・・こう言う事はどうでしょうか?月、或いは火星にこちらからバーチャル制御出来る20Dプリンタを配置しとけば、もし破損しても補充が可能でしょうし。和良無線光ケーブルとは、元々宇宙エレベータの使用を開発した事は、例外的でイレギュラーなものであって、本来交信・或いは無線LANでは無いのでしょうか?これを記憶媒体であると思うのであれば、AI等遥かに凌駕する宇宙レベルの無限記憶媒体となるじゃないでしょうか?」

「何と・・私が思いつきもしない方法論を即座に言われるとは・・むむむ・・では、リー博士とコンタクトを取らせて頂きます。場合によれば、ラン・ショウ班長・サナギ副班長。カムイ副班長、エイジ主任をこの開発に巻き込んでもよろしいですね?」

「ふふ・・任せますよ。俺の荒唐無稽話に、それこそ即座に反応されるとは、恐らくその御存念に何かあったのかも知れないようですね」


 この会話も、シンの突拍子も無い提案で終わった。

 ただ、ダン、コウタ、キョウ達の幹部が何も手をこまねいていた訳では無かった。

 3人で調べた事をやはりこの者達によるトライアングル会議を行っていた。彼らは専門家だ。そして2人は生体学者、鉱物学の博士でもある。分析力もずば抜けているので、高度な議論に当然なっていた。


「すると・・このイオペタスについては、質量が低いと言うのは、ほぼ間違いないんだな?」

「そうだ、以前から殆どが氷で後は小さな隕石だろうな、岩石片を閉じ込めた衛星だとは言われていた」

「すると、そんな衛星が太陽系第2番目の大きな惑星の軌道を離れて、且つ第1番目の惑星である木星をも引力圏を通り過ぎ、火星に接近していると言うのは?」

「そこまで分かるかよ。質問を変えろや、補佐」


 ダンが苦い顔をする。確かにどストレートな質問だ。

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