第18章 激震
「はい・・これも和良司令官なんですよ。ここで、また俺達はピースを繋げた思いがしました。その特性を熟知するからこそ、地下通信路は地球的大事変下においても、かなりの部分が残った。そして、これは和良無線光ケーブル網にも見られるように、一部が欠けても再生する。そして、電磁爆裂後の世界においても、破壊されずに残ると言う事を予測していた訳です。ならば、敢えて和良司令官は、そんな一触即発の世界地図ならば、滅びても已む無しと静観したのでしょう。その間に自分は求める延命策、不老不死の原理を極めようとした。何も手を下す必要など無かった訳です。なら、この和良司令官を極悪の非道な行為をしたと見なすのは間違いでしょう。誰も殺めても居ないのですからね。ただ、今一度念を押しますが、その考えは全く我々とは相容れません。全ては自分に向いている。彼にとって傍に居るのがどのような人物であろうとも、利用する側の者でしか無かった訳です」
「むう・・」
「ずっと・・この方の因縁と申しますか、影に脅かされて来ました。今もそうです。ですが、その過程の中で、少なくても我々に何かのヒントは残してくれたと思います」
アマンが短い言葉で言うと、そこへ皆の言いたい事は全て集約されているように思えた。だが、この呪縛は・・果たして・・彼等にはまだ気持ちの中に暗雲が立ち込めていたのであった。珍しく黙っていたコウタが言う。
「俺達が積み上げて来た検証は、現状を知る為に必然だった。その必然の為に人類は、新たな一歩を踏み出さねばならないと思うが、それがこの『龍の巣』とは、少し残念な気がする・・」
「補佐・・その残念に思う部分を吐露して見ろや」
シンが促した。
「少なくても、第4生命体?そんな存在よりも、国家の浮沈を掛けた最先端技術が投入されていると思っていた。奇妙な生体は、確かに対馬、大蛇、瀬戸内海だけに繁殖する生体やT国猿人等不可思議なる遭遇の連続であったが、少なくても俺達は、人類がどこかで居ると思ってやって来た。今もその思いを捨てきれないのさ」
「捨てきっては居ないよ、ただ、電磁パルス爆裂後100年以上を経過し、その時の生存人間が居たとして、寿命は最長で130才だ。子孫を残しているとしたら人類には出会うだろうが、ここまで4年半、そんな存在には出会わなかった。しかし、地球に生命体や、植物の存在はあった。そこに僅かであっても希望はあると俺は思うが?」
シンが答える。




