第18章 激震
「言いたかった事は、正にその部分だ。もう原理原則論は良いよ、それがもしそうだったとして、人体にもし宿る電磁波が霊魂なんだとしても、又、実体を失ったそのものは、自らの記憶は保有していたとしても、意思は持たないって事だと思う。もし、和良司令官の肉体が消え去った今、その電磁波がどこかに彷徨っているんだとしてもだ。それ自体が何かをする事など出来ないと思うし、今のM国とは、既にほぼ完成まで進めた、鉱物変異・・即ち、その振動の源がどこに存在するのかだと思う。そこまで俺達は到達したんだよ、現在において・・だろう?」
ダンの言葉にシン達も頷いたのだった。
シン達は、始動するべき、今探索し終わっているM国の『龍の巣』全体を画面に映し出していた。ショウが久し降りに加わった。相当なプログラムの依頼があって、スタッフも大勢ショウの所に増員しているが、追いつかない状況だと言う。ランもそうだ。分析する作業が多すぎて、とても人手が足りないと言っていた。
ショウが相当観測は進んでいると言った。
「・・と言う事で、以前より広大な『龍の巣』の約9割近くが埋まっている。だが、危険なキラービーの巣や、蝙蝠群が生息するであろう場所もほぼ特定したが、何が起きるか分からないので、触るなと言う指令が出ている。俺達はこうして外堀を埋めて行くしかない訳だが、改めてこの場に呼ばれた意義とは?」
「うん、流石にショウだ。3D次元の地図と、詳細な距離、凹凸まで本当にそこへ臨場しているような画像を、よくぞまとめてくれたよ」
シンが褒める。
「まあ、俺は自分のやりたい事を忠実に実行しただけだ。それよりαMRの精度が上がった事が大きいと思う」
「それは部長の方でも、色んな改良は日々やってくれているからさ。で・・ショウ、お前の見解を聞きながら、これからの事も決めて行こうと思ってさ」
「ん?俺の見解でこの先の行動を決めるって言うのか?どんな重大な案件なんだよ、それって」
ショウがきょとんとすると、シンは、
「いやいや,参考にさせて貰うだけさ。お前の精密な分析は群を抜いているし、そのプログラミングの技術、能力は比類も無い。確かにランのような独自プログラミングを感覚でやれる天才型の者も居るが、お前は確実にエラーの出ないプログラミングで、しかも非常に操作し易く正確にやれる・・この画像は、単なる部長との合作では無く、お前が不明な部分も想定し埋めて行ったからこそここまでリアルなものとなっている。俺は認めているのさ」
そこまで褒められると、悪い気もしないショウだった。シンはこう言う部分においても、相手を褒める。それは心底そう思うからこそ、虚飾もせずストレートに認める事が出来るのだ。その資質においてもやはり、トップに立てるべき者なのだった。




