第18章 激震
「概ねそのように考えればよろしいと思います。電場と磁場の変化を伝搬する波(波動)で御座います」
「うん・・その発生源と言うのが、塔にあるのか?」
「いや・・塔以外に幾つかの壁・・と言うか、岩盤をすり抜けて来ているような感じだな、塔以外の方向からも来ているし」
「ふうん・・しかし、その方向は変わらないんだな?そこを塞いだと思って良いのか?」
「正確には、同じ波長の波動を発生し、それにぶつけた」
「何!じゃあ、その発生装置があるんだな?こちらに」
「いや・・それも正確には違う。例えば録音と同じく、その波動を記録し、発生方向に同等のものをぶつけたんだよ」
「成程・・リンが攻撃を受けたのと同じ。或いは、倍返しも可能か・・と言う事で良いんだな?」
「ふ・・そこも概ねだ。その周波数と言おうか、波動を発生させる装置は俺達は持ち得ない。ただし、蝙蝠が発する音源に対する超音波は可能だ。リンがやったのは、つまり倍返しと言う奴だ。蝙蝠は平衡感覚を失い、それで落下した」
ケンは大きく頷いた。
「俺の感覚で言うが・・つまり、今回大きく有効打を放ったのは、和良式無線光ケーブル網だと言う事になる。違ったら笑ってくれよ、ははは」
「うわ・・こいつは」
シンが驚いた顔になる。アマンもそうだった。
「な・・何だよ。笑う代わりに、びっくりした顔をしてさ」
ケンが逆に驚いたように言うと、
「正に・・そこだぜ?ケン。和良式無線ケーブル網が例外なく、網目状の膜を形成したからこそ、この光子の振動が、相殺しちまったんだよ、その振動波をさ。その実験を部長がやって、そして、補佐が瀬戸内海における生命体のDNA識別を最終的に確かめた。この2点だ」
「なんと・・じゃあ」
「ああ・・俺達がどうにか出来るものじゃ無かった。しかし、その波動を発するのが、このM国全体の地下にある。それが鉱物変異組成の振動なんだよ、恐らくな・・今は確定じゃないけど、そうなんだと思えるような一連の結果さ」
「む・・むむむ・・じゃあ、和良司令官はその原理を自ら生み出していたと言う事になる。応用は違うが・・」
「だ・・な、そうなるよな、やっぱり」
シンが大きく頷いた。
その瞬間、ほぼ幹部達は一連の事を理解したのだった。だが、シンは言う。




