第18章 激震
シンとアマンは、顔を見合わせた。これもマコトなのだからそれは構わないものの、もはや、感覚だけで人類が生き延びられる領域では無かった。彼らは、旧時代の悪しき文明が生み出した機器類であろうとも、駆使しなければ、もう生きていけないのである。脆弱な人間なのだから・・それもイリジウム等その体にはMIXされても居ない事等が、もうはっきりしていた。今度の探索で発見したのは、これが再生細胞・形態記憶鉱物変異によるものだった。その前に彼等に度々交わされていた会話を聞けば、マコトが思うより、実に細分化され分析が開始されていた事も忘れてはならない。それだけの用意周到な準備をしていたから、マコトが最前線で居られたのであった。そして、リンが対象に意思が無いと言った言葉も、その重要なファクターになっているのだ。シンは聞き逃さない。そう言う全ての事を網羅し、彼等を動かしているのだから。そして、もう誰の目にも本当の№2は誰かも分かっている、アマンだ。これ程飛びぬけた分析力と、判断力のある女性がシンと一緒に行動しているからこそ、今があると言って過言では無くなって来ている。だが、彼等とて今や誰が欠けてもならない重要なメンバー達だ。そして底上げにより育って来ているメンバーも居る。全ての人材がそうであるとは言わないが、何が、彼等を助けているのか・・それこそ和良式無線光ケーブル網なのである。皮肉だが、彼らはそれによって生かされているし、様々な情報も得ているのだ。和良司令官がどこでどのように接点を持っていたのかも、交錯する時代と情報の中で明らかになりつつも、ベールは未だ解明には遠く、深い。彼らは現前の出来事を一つ一つ、クリアしていくしか無いのである。
「隊長・・道まだ遠しっすよ。でも、ここまで来たんす。俺達は本当に頑張って、ここまで来たんすよ。そこに誇りを持ちましょうよ」
「あ・・うん!」
マコトは引き上げて行った。アマンは、にこりとその後ろ姿を見ながら頷くのであった。
「さて・・リンもかなり気になっていたようだが、何故この振動波を停止させたかをはっきりした論理にて説明する必要があるようだね、アマン」
「そうですわ・・だって、いきなり対象が動かず、回収したって言うミッションは、誰もが啞然とする中で、驚くべきものですからね。そして、それには曖昧な説明に終始している中で、鉱物変異の関連をこれもいきなり発表した形でしたでしょう?」
アマンもそう思っていたようだ。
「うん、そうなんだが・・全体会議はそうそう出来ないしなあ・・さて」
シンが考え込んだ。そこへどう言うタイミングか、ケンがいきなりA国から『戒』と共に戻って来たのであった。




