第18章 激震
こうして、一連のミッションとは、高速で動きリンを攻撃した対象の徹底的分析と、まさかそれを補足出来ると思っても見なかったのだが、その動きが機械的であり、どうしても生体的な動きでは無いと見破った彼等の一連の調査と、最終的にコウタが長年研究して来た事や、新たなデータベース、サーバ連動の分析脳だった。彼らは、人類の科学が悉く破壊された原始の世界に逆戻りしたかに思えた未来図において、その科学を自分達の知恵により駆使し出したのだ。勿論、それは100数十年前の超科学の域では無いし、その時代は完全にAIが全ての国において、或る意味人間を使役すらしていた時代なのだ。そして、人類は脳の退化が進み、生殖能力すら失われ、種としても既に絶滅はそこにあった。その人工的であれ試験管ベビーで生まれた彼等が、日本独自の特殊施設に居たお陰で今生を掴み、その時代の科学へ再び足を踏み入れようとしているのだった。
また、個別会議が頻繁に開始されていた。
リンが、回収した人型機?の前に来ていた。ランとケイジが分析を行っているが、ばらばらにされていた。こうなると、この構成が殆ど鉱物の結晶群である事も分って来た。彼が既に見抜いていた鉱物組成の、第3、第4?の活動体になるらしい。
「ふうん・・精巧でも無いが、聞くところによると、幾つかの組成分子の結合によって、ばらばらになっても、再び再現すると言うんだな?」
「それは、もう補佐や、副首班と会議も行って聞いているんだろう?リン。お前は、自分を攻撃した?或いは反撃したかも知れないこの対象にどんな興味を持っている?いや・・もっと知りたい事は何だ?」
ランらしい問いだった。
「俺は、最近はA国にお前も張り付いていて、ケンとも色々やっているようだから敢えて聞くが、イリジウム奪取と言うのが、地球的戦略の一番手だったんだよな」
「ああ・・この鉱物こそは、マグネシウム合金に続く新侵略戦争の柱だ。多くの軍事費を使い、且つ武器を持ち、兵力に頼っていた旧時代の戦争は、それからサイバー攻撃や、核の抑止力は結果として自国をも滅ぼす諸刃の剣だ。抑止の制御は、IT戦争に移行され、その中から宇宙への進出がどんどん早まった。だが、人類はAI先導による管理に頼り過ぎてしまい、結果として人間の意欲の減退、脳活性の低下、繁殖能力の消滅に一気に進んでしまった。そして、ロボット、或いはクローンも開発されたものの、次第に人工的繁殖、生命維持の方策、つまり不老不死だよな。それが求められるようになった訳だ」
「お伽話だったものが、超科学の世界に現実になりつつあった訳だ」
「ふ・・そんな昔話って、人類が持つ欲望、願望なんだよ。誰もがそうなった時の事は考えもしないだろ?」
「ん?ラン、思わせ振りな言葉だな」
リンが首を傾げる。




