第17章 接近する
「もう・・大丈夫。その人型は動けない・・と言うか、振動連動装置が破壊されたからだ」
「装置?」
ケイジが聞き直した。
「そうだ。装置なんだよ、人型なんて実際どうでも良い事。ただ、組成的に360度周囲に振動波を発信しやすかったに過ぎない。そして、勿論、その対象が生命と言う営みをしている訳では無い。ただ、半永久的な起動装置であるとは思うがね」
「じゃあ・・その最終的実験と言うか、証明の為に今まで・・」
「そう言う事になるのかな・・」
コウタが言うと、シンが、
「間に合わさそうとか、この補佐の分析結果がどうなるかは、俺には想像も出来ていないさ。だが、その前に俺は止めたが、皆は鋭い分析を殆ど証明できる位に高めていた。これこそ、俺達がずっと取り組んで来た事の成果では無いか?いや。まだ今その解明を行い、改めて和良式無線光ケーブル網の凄さを思い知った所だ。要するに、旧政府はこの秘密研究所を絶対秘とし、封印して来た。既に未来地図を描こうとしていたんだよ」
「何となく・・部分的には理解出来つつある。じゃあ、首班はこの熟成を待っていたと言うんだな?」
「そう思って貰ったら、俺もやって来た事の理解の一端が知れて、安心するがな。でも何度も言うが、突破口がとうとう開けた段階に過ぎないし、リン程の者を苦しめた振動波とは何だと言う事は、今から回収してくる人型の対象を、分解してからだ。な?ラン」
「俺に任せて貰えるのか?」
「ふ・・お前しかいないだろ?あ・・ケイジ、お前も一緒にやるか?」
「あ!はい!はい、はい、はいいっ!」
喜色満面で大声を発するケイジに一同は大笑い。やっと緊張がほぐれたのだ。この回収が一番のミッションだった訳だ。




