第17章 接近する
「で・・動きがパターン化されていると言う部分において、これはもう機械的動きと認識しても良いと思うんす」
「機械的だと言い切っちまったら、もうケイジ、お前の後の論は無くなるぞ?」
ダンが言う。
「あ・・はい。自分なりに調べた結果です。動きに規則性があり、その動きについても一定の速度、また距離があります。この12パターンの動きはとても生体的なものでは無いと同時に、この地球上のどの生物に当てはめてみても、こんな速度を持つ者は居ません。瞬間移動を時速に例えると、200キロ、確かに急降下で落下する隼は時速300キロを計測すると言われますが、水平、垂直移動を0.1秒間に繰り返しておりますからね」
「ほう・・」
少しランも興味を持ったようだ。ケイジがもう以前のような天才的IQを隠す事は無く、一分野には特筆たる成果を示している事を知っている。このM国探索の大詰めに到達しかけた今、彼等の知恵は総動員されるべきだ。
「これが、鉱物組成振動波だと結びました」
「ちょっと待って、ケイジ」
アマンがそこで、話を切った。
「鉱物変異組成による、対象だと論ずる事は結構よ、今までの話の流れでも分かる。けど、その振動波とはどこから出ているのかと言う話になってしまうでしょ?それは結論なの?」
「いや・・導きですよ。ただ、推論では無いと自分は思うんで・・」
「じゃあ、聞かせて貰うしか無いわね。ふう・・貴方はとてもIQが高いせいか、話の論連をかなりすっ飛ばす傾向にあるのよね」
「あは・・俺には何となく理解出来るんだけどさ」
ランがそこで口を挟むと、
「おうおう・・異色者同士の共鳴が始まっちまった」
ダンがおどける。リンは黙っているが、話の筋はきちんと把握しているようで、
「続けろよ、お前達は、一言一言黙って居られ無いのかよ」
「怒られた・・」
ダンがまた言うと、ケイジが続けた。彼等特有のやりとりは、或る意味確信を掴んでいるのだ。なので、全く気が抜けない事も悟っていたのである。




