決別 12名の戦士達
「成程・・ここが終点か・・しかし、上に登る道がちゃんとある」
「1人誰か登って見るか?天井までは10Mしか無いと思うから」
「はい!俺が行きます」
手を挙げたのは、リンだった。行動力がぴか一の男だ。機敏な動きでさっさっと登って行く。
「上に到達しました。けど・・出口は無いっす」
「無いのか・・封鎖されているのか、どちらかだな。良し、もう良いよ」
「え・・?良いんすか?」
「通路を確認出来ただけで上等さ。今は全て綿密に知る必要は無い。時間はたっぷりとあるんだからな、次へ行こう」
決断は早かった。そして2本目の入り口まで戻った。数人が、シン程では無いが、この詳細なものを頭の中でMAP作成しただろう。彼らはそれだけの男達だ。
この日は、2本目でやめておこうと最初から決めていた。一気に調査する気は無かった。ここが本当に水路になるのなら、水が浸入してくる痕跡も探しておかないと、逃げ場が今度は無くなるからだ。1本目の通路にはその水源は無かったし、行き止まりになり、階段もあった。それは地上と行き来していた事を意味する。だとすれば、中央広場と名付けたここは、生活の場所だったとも言える。まだこの場所を十分に調べて居ないのだから、一晩ここに居て、何者かの気配を感じたり襲われる事も無かったので、今の所安全だと言う事になるだろう。
そして、2本目に向った。通路は1本目と殆ど変化は無かった。恐らく8本全てが同じような構造では無いかと思われる。高さは殆ど一定で2.5M、幅が1.5M程だ。その所々に光が射し込み、ここも油性ランプが無くても十分に歩行可能だった。一本目よりは今度は長かった。そして、途中で右、左に蛇行して道は続いていた。
「止まれ・・」
先頭を歩くエライリーダーが手を挙げた。こう言う場所で率先し、先頭を歩く役割をするリーダーだった。、余り多くの事を言わないし、指示役は殆どシリマツ官吏だ。マコト副長は、シン達以下のまとめ役的な形でこのチームは非常にまとまっていた。自然とそうする事で、このチームは本当に良い感じでコミュニケーションもとれていたし、それぞれに相当高い能力を持つ頼もしい仲間だった。
その場所は、更に左右に道が分かれていて、
「どうするかな・・2本にここで分かれている」
「ここまで来たので、どうせなら、今日はこの2本目の通路で終了と決めていたので、2班に分かれて、調査しませんか?その方が効率的ですし」
ショウが提案した。分析力に長けている男だ。その意見は通った。ここで、先頭から順番に並んでいる7人と、6人に分かれてでそれぞれの通路を進む事になった。シン達はランを先頭に左へ、右はエライ班長以下7人で進む。約この二又の通路まで、中央広場からの距離が、700Mだった。何歩進んだかで大体の距離は分かる。全て、文明の利器などは必要無いのである。体でそんなものは測れるし、十分なのだ。ドーム内ではまだ文明の利器が存在している。電気が使えるからである。しかし、それも老朽化が著しく、一部の駆動するものに限られる。
それからシン達を中心に場面を展開するが、200Mそこから進んだ所で明るく日ざしが射す場所があった。そこに階段は無いものの、自然に崩落したものか、30センチ程の穴が開いている。そこから雨音がして来た。




