第17章 接近する
「で・・だ。毎回こう言う展開になるが、話をする内に何となく出てきた気がする。方向がさ・・つまり、今の無線光ケーブル網こそが共振による無限連鎖鼓動・・と言っても良いよな?以前の既に情報収集目的では無く、完全に制御機能もさえ併せ持ち、且つ地球外、太陽系外はおろか、100光年先まで網羅していると言う事だ。そして、もし我々の先祖・・と言うより和良司令官の思惑通りになっているのなら、地球外生命でさえも、これに敵う者など皆無だろう。しかし、そこにも完璧は無かった。人類有史以来の大天才であったとしても、この日本の最後の浮沈をかけた大事業は、その無線光ケーブル網すら遮断した。そして本来ならば、全く違う方法で不老不死となった和良司令官が、新世界を構築する筈だった。だが、それが究極の所人間の浅はかさと言ってしまえばそれまでだが、完璧な計画は崩れ去った。俺達の眼前でさ。そして、ずっと300年以上も前から進行して来た日本・M国同盟の中で、この研究結果に今俺達は触れようとしている・・。とても永かった・・そんな気がするよ。そして、俺達も何が真実であり、はたまたフェイクなのかは分からない。でも、現実はそこにあるんだ」
シンが言うと、3人は頷き、
「瀬戸内研究所が、かなりのヒントになりましたよね?イリジウムの利用も、その鉱物の取得も非常に近世代には重要なポイントだった。またカンジ班長が言われたような、発光ダイオード等の研究も進んでいて、自ら暗闇内でも発光する動植物が深海生物分野からも相当に研究が進んでいて、未知のDNAは深海探索から見つかっていた。その研究のやはり第一人者が、和良司令官だったのです。マルチな才能を発揮する超天才博士と言う事は揺るがない評価でしょうが、それだけAI技術も進んでいた。大容量を保持するA国はその情報さえ入手すれば、こちらからも再び地球・宇宙を制覇出来るだけの物量を持っておりました。日本は、その時既に地下で反撃を待っていたのだと思うのです」
「イリジウム・・ここが世界征服の何かが隠されていると?」
「いいえ・・恐らくそれこそが、様々な応用分野だと思うのですが」
ダンの問いにアマンはそう答えた。うんとシンは頷き、
「αMRが、大活躍してくれているようだ。画面を」
ふいに指指すと、まるでその中に彼等が居るような錯覚に包まれた。
「ああっ!もしかして、これがM国の中枢システム?」
急展開するシン達の眼前には、幾何学模様の入り組んだブロック形状の黒い色の鉱物?結晶群が、並んでいた。




