第17章 接近する
「はい、真意とは、電磁パルス爆裂へのスイッチでしょう。それが本意だと存じます」
「そこ・・やはり和良司令官陰謀説だと言うんだね?」
「そうで無ければ、続く電磁パルス爆裂にて、A国攻撃によって他国が一斉に戦争の火蓋を切るのは必然。待っていたかのようにそれを起こしたのも、やはり和良無線光ケーブル網の情報公開でしょう。だからこそ、その誘導をしたのです」
「今・・ここに来て君は相当確定したかのように言うが、その流れとは?」
「まさしく・・そこです。和良無線光ケーブル内の光素子の振動を永久的に起こさせる為です。電源の不要なこの装置こそ、内部振動であり、そして外部振動そのものでしょう。故に電磁パルス爆裂と言うスイッチが必要だったのです。それは10年、20年連動して必要でした。それだけの光ケーブル網が既に敷かれていたからでしょう。一端その振動を起こすと、連鎖的に核融合・分裂のようにそれは起こり、そしてその2重の光素子が覆い隠し、逃げ場を無くします。最後の被膜こそが、今言う光素子であり、電磁パルス爆裂によって発生した振動型光素子そのものでしょう。いえ・・もうそれしか考えられない所まで追求したのです。ご覧ください」
アマンは、このようにとんでもない才能を発揮する女性なのだった。彼女は、どうやらずっと調べていたようだ。電磁パルス爆裂を起こしたのは、連鎖的に振動勃発を仕組んだ和良司令官だと言う証左が、次々と時系列で示されていた。そして、それはアマンの細胞変異のパルス研究とも重なっていたのである。また、それをヒントに出したのもダン達だ。全ては繋がっていると言う事を、鉱物・生物における確固たる分類境界とは何ぞや?と問うた時点で、もはやそこには境が無い事を彼女は繋げたのだ。
「むうっ!」
「私が何故前回質問を繰り返したかと言うのは、御提案がありÅの事をやり始めた時から、そこに奇妙な一致点が幾つも出て来たからです。この度のM国での長期間の探索も、つまるところそこで止まっておりますので」
シンが、
「良く気づいてくれた・・。俺も漠然としていた形だったが、今の言葉でもやもやしたものがかなり晴れた気がした。だが、主査、君は性格上本当にきちんとしていて、言語もはきはきしている。しかし、それは或る意味、断言の言葉に聞こえる。それは、あくまでも自分が調査して来た仮定の話であり、確定論では無い事を自覚して欲しい」
「はい・・仮定ですか。架定では無いですよね?ふふ」
「あははは・・そう言う突っ込みも大事だ。あはははは」
リンも大笑いしたのだった。




