第17章 接近する
「故に、対象を見極めるのが第一では無いのですか?全てはその土台を外してしまったら、もっと先にある今の言は、暴論になりますよね?」
「理系の主査だな、そう言う質問が来る事は分かっていたが、俺にもそれだけ言える資料は準備して来た」
「ほう・・リンがかなり高いレベルの学者だとはもう十二分に知っているが、資料を見せて貰おうか」
それぞれが、きちんと自分の会議に向けての前回のような雑談形式では無く、より確実な資料を準備して来たようだ。しかし、既に調査進行・・このギャップの矛盾も問いながらも、今回の4名の話がよりM国の中央システムに一歩踏み込めるかと言う位置まで来たようだ。これだけ時間を要し、不明な事が連続の中で、もやもやとした不気味さだけが漂う中で、ようやく存在を発見したが、その攻撃も受けた。かろうじて、圧倒的なその存在に対し反撃もした。ただし、こちらから一方的に攻撃した事は一度も無かったシン達が、今回は壁を壊して進む選択をしたのには理由があった。
リンが示したのは、超音波の周波数であった。そして、それは無線光ケーブルが発する振動とは、一体何であるかまで細かいデータにしてあった。
「ほう・・今までずっとこんなデータを?あんなに忙しく動いていて良く・・」
「ふ・・そんなのお前達と比しては、何分の1にもならねえじゃねえかよ」
リンは笑う。アマンがにこりとし、
「で・・リン班長の言われたい事は、この振動とは規則正しい連続だと思っているのですか?」
「良い質問だな・・あはは。そこは今から言う所だった。と、言うより主査もそこまで到達していた事になるよな」
「うふふ」「ははは」
2人は笑った。何なんだろう・・この組み合わせは偶然なのか?必然なのか?
「俺は、規則正しい連続性を主張する・・それは、そうならなきゃおかしいと思うんだよ。だって、被膜のような2種の光素子がそれに耐えきれず、吹き飛ばされる、隙間から脱出する訳だろう?見解は?」
「おう、リン、同じ意見だ」
ダンが答えた。アマンも、
「そうなりますよね、それはそうなんですが、1つの種だけを見ればそうなりますが、もう1種あると言う事の検証は出来て居られますか?」
「あ・・いや。だって、光素子は山谷の波。その波が一定だと設定した以上、2種はその波をロープの三つ編みのように埋めると考えるのが、一般的では?」
「成程・・そのお考えが間違いであるとか、又違うとかは言いません。しかし、光素子そのものがこれまで誰もが研究されて居ない分野のものです。そして和良司令官しか手を出していないものなのだと言う事でしたら、必ずしもその定義は当てはまらないとも言えます。と、なれば今回M国でその無線光ケーブルを阻害するものとは、その一つであるのかも知れないと逆に考えればどうでしょう?」
「もう一種の光素子?それがこの地下空間にあると?」
シン達もその言葉に驚いた。




