第17章 接近する
「要するに言いたい事は、その和良無線光ケーブルは、その覆い被さった2種の光素子を振り解こうと、もがく・・そして振動=パルスを発生している。生体・鉱物の違いの話も出ましたが、あらゆる電子は常に動いているので、原理は同じ事。その振動に対して、電子であれば陽極・陰極があるので、常に陽極から陰極へ流れる。その陽・陰を逆転させて蓄電池のようなものが作られては居ますが、MRはそのパルスに反応し、更に反発するもう一種の素因子を利用して空中に浮き、陸海空はおろか宇宙まで光と同様の速度で、理論的には移動出来るものと考えられていますよね?」
「今・・何でそんな質問を?」
困惑する3人だった。アマンは、
「根本とは、このM国にある。つまり、和良無線光ケーブル網を遮断する金属的素因子が主要施設及び、MRでは進入出来ない通信路=当然人工構築した通路があると言う事で、外堀はショウ班長のMAPで埋まって来た訳です。その中から出現した蝙蝠群はこの中に居る。そして、正体不明の対象も居る。だが、MRでは進入出来ないからこそ、ここは以前人工的に開けた斜坑のような穴を今作っているのですよね?」
「おっと・・そこまではまだ披露していない情報なんだけど」
「いいえ・・この4名だけの会議内であれば、知っておくべきですわ、その事は」
シンは頷き、
「良い提言をしてくれているようだ。無論、隠すつもりも全く無いが、これも確定できる事ではないので、まだ発表していなかった。今の何時ものように鋭いご指摘は、俺達も賞賛に値するものと受け止める。ああ・・その為に直球で言えば、鉄砲玉を前方の壁に打ち込み、存在があると思われる空間まで貫通させる。その瞬間に、和良無線光ケーブル網はその空間を埋めるから、小型MRを送り込み、新たなMAPを埋めるつもりだ。以前のようなキラービーとか、まだまだ隠れた敵となるような対象が居ても、2種のMR=従来の機種、鉄の玉状の機種・・これを相互に配置し、速度は当然落ちるが、じっくり探索進行をしていくと言う作戦だ」
「はい、自分なりに会議に望む上で分析しましたが、今の言葉ではっきりしましたわ」
「ふふ・・鋭い主査の分析だし、完璧な受け答えも承知しているけど、その上での俺の発言はどう思う?」
リンが聞いた。




