第17章 接近する
「とにかくだ。一瞬の判断の誤りで命を落とすミッションだ。そして、隊長が自ら強い意志で行かせてくれと言う事で、何度も話し合った。俺はこの判断が正しいのかどうかも分からないんだよ、今もな」
「その為に前方に遮蔽板を何重にもして、又後方からの鉄製MRが護衛している。また、自動発射装置もONしている。これは、攻撃を受けない為の防衛手段であり、こちらの意思を示すと言う強烈な主旨だ」
「だが・・無機質な相手だとしたらどうする?意思を持たない相手に、こんな仕掛けは無意味になるが・・」
リンが言うと、
「じゃあ、やらないのか?それは無いだろう。既に隊長は出発しているのに」
ダンが苦い顔に。
「いや、それは対象の反応を見る目的がある。その事じゃ無く、実際の捕獲までやるのかと言う事だ」
「おいおい・・いきなり又何段階も順序を飛ばして言ったぞ?リン」
シンが今度は苦笑い。
「まあ・・最終的には、そう言う事なんだろうなと言う話だ。その上で、隊長にはもう少し自主性を持って欲しいなって言うのが首班達の考えなんだろ?純粋で真っ直ぐで、あんなに平時なら頼もしく、信頼できる兄いも他には居やしない。しかも、並外れた感覚は、恐らく誰よりも上だ。お前達は、真に第14班の中枢部隊の長として、ぐいぐい皆を引っ張って貰いたいと思うからこそ、野外活動を重視して行動させているんだろうが?」
「おい・・リン、全てまで言うなよ」
ダンが苦い顔をした。アマンは黙って頷いていた。正にシンは、そうなって欲しいが為に事ある度に、マコトに自主性を求めているのだ。マコトがシンに対して従順な部下である必要は無かった。持ち得る才能は、やはり群を抜いているからだ。
やっとリンの言葉で、今回のミッションの根幹が見えて来た。その何時ものような種明かし合戦を粛々と打ち破るように、冷静にアマンはこう言った。
「和良無線光ケーブルは、コーティングされた2種の光子によって、もともと幽霊光子と呼ばれるもの、或いは透過素子であるため肉眼では見えません。又コーティングされた光子もその性質は違うものの、中心の光子と波長の波を覆うので、1本の線になると言う事ですよね?」
「ふ・・何で今その質問を?そう聞いては居るけど、俺達は専門家じゃ無いよ」
シンがこれも苦笑い。




