第16章 危ない!
「な・・何だと!」
「隊長、怒る場面じゃないっす。何の為にリアルタイムの情報源を幹部に提供しているんすか?蝙蝠群が襲って来て、拡声器による反撃を行った時点において、とっくに進入路は把握しているし、分析も同時進行にやっている。そして、ウテン・サテン班長による防壁も設置した。とりあえず、防御網は即座に取り組んでいる。その上で、敵と見なす存在の分析も行っている途中だった訳っす。幹部がこの場に居なくても、もうM国にその最前線が移動していると言うのは、首班、副首班が顔を揃えてここ居ると言う事を見ても、誰もが分かっているし、この会話の情報は、大まかな部分でどうだと言う問いかけも進んでいる。だから、この会議でのやりとりがあるんすよ。前にも首班からきつく言われてましたよね?真っすぐが隊長の良い部分だけど、周囲にもっと眼を配らせて欲しいと。俺達は思うんすけど、今回リンをこんなに危険な目に遭わせたのは、隊長の目配りが足りなかったと言う部分もあるんすよ。勿論予測不可能な事を承知しているけど、言い過ぎかとは思うけど、防御壁は隊長の位置から、数秒で固結する。数発でも側面援護をしとけば、リンが拡声器による超音波反撃をするまでには、至らずに済んだと思うっす」
言ったのはランだった。
「え・・俺のせいか?首班もそう思っていたのか?」
マコトの顔が青ざめた。
「止めろ・・隊長を責めるんじゃない」
「え!」
全員が声を発する。何と今までぼおっとしていたリンが、そこに立っているのだった。
「俺は、メイ博士の診立て通りだ。周囲の様子が分からなかった訳じゃないし、入れ替わり皆が顔を見せて、立ち替わり心配してくれていたのも分かっている。ただ、言われるように強い衝撃を耳孔の奥に受けた。恐らくその信号が余りにも膨大な量で、一度にそのデータを放り込まれた為に処理が出来なかったんだ。お前達の会話も聞いていたが、何で隊長を責めるんだ?おい、ラン・・お前は、常に戦場に自分達が居ると錯覚しているんじゃねえのか?俺達は、戦う為にここに居るのか?何で、首班、今の言葉を即取り消さないんだ、正直自分もそう思っていたんじゃ無いのか?」
「いや・・そうじゃ無い。遮蔽発射なんて、俺は思いつきもしなかったからさ・・もしランが居れば、お前の身を防げたのかも知れないと自分を責めていた。皆!誤解をしないでくれ。今回隊長はベストな選択をし、自分の身も顧みもせずリンを守ろうとした。そして、今リンには怒られたが、リンは隊長を守ろうとしたんだ。そうだな?」
「え・・」
会議が凍り付いた。今ランの言葉に少なからず、ダンでさえもそう思う部分があったからだ。




