第16章 危ない!
「確かに、細胞組織を見ると、これは方向性を持った一連の見事に統一された鉱物の結晶のようなものですね」
「生体・・動くものと捉えると、必ずしもそうでは無い生き物もいます。かと言って植物もその分類かと言えば、体に栄養を摂り入れ体内で循環をし、成長もする。つまり生命な訳です。無機質な鉱物世界において、それは自発的な活動はしなくても、外的要因により変化したりする事は生命とは言わない筈ですが、恒常化した不変のものではありません。酸化したりする事もそうですが、その分子・原子がくっつき合う事は、それを不動のものにはならない訳です」
「おいおい・・カタイ言い方をするよなあ・・少なくても、ここ居る者は一定の学力を持ち、研究、博士号すら持つ者達だ。そんな説明は要らねえよ」
ケンシンに丁寧に答えようとするコウタに、ダンが突っ込む。これはもう何時ものやりとりなのだ。
「あのさ、その専門家達さんに俺は愚問を呈するが・・何?そしたら、一連の出来事は、お前達が有り得るぞと予想していた範囲内にあって、リンがあれ程の眼に遭ったのも、事も無げに、M国リスクとして認識していたと言うのか?それなら、前線で体を張ってやっている俺達は何なんだって話だろう?」
「あれ・・隊長、怒っている?もしかして」
ランが聞いた。他の者はマコトの言葉に口をあんぐりさせているが・・
「・・ったり前じゃないのかよ。命懸けの連続で、今回もこんなにはらはらもしたし、攻撃を受ける前にこちらから反撃の姿勢も示すってやっていて、相談していたら、何時の間にかこんな流れになっちまった。おかしいだろ?そもそもの話がさ」
「やっぱり・・怒っているっすね。誰が、何もせずにこんな会議をやっていると思うんすか?そんな余裕は今までもずっと無かったですよ。冗談じゃない」
シンが怒り顔に・・
「え!どう言う事なんだ?」
「だから!何をとんちんかんな事を・・一元的な見方ばっかりしてなさんなって話だろう?自分も参加しといて、この会話内容をもっと聞いていたら分かる筈。最初っからぶれているんすよ、隊長。俺達は、とっくにその対処法をやっている。その上で、分析をこの会議でやっている訳っす。そして、新情報は刻々とこの間にも積みあがっているんす。この話が隊長から持ち込まれる以前から、もう実行しているって言う事・・その位は理解しといて欲しいっすわ」
今度はダンが辛辣な言葉を発する。のんびりしているのはあんただろう?と言いたいのだ。




