第16章 危ない!
「そう俺は考えた。なら、地球内で地下通信路網を張り巡らせ、太古からあったとは言え、未発見の大きな『龍の巣」の洞穴、晶洞にしても、これは人工的なものとしても捉えられるじゃないか。そこに和良無線光ケーブルでさえも遮断しちまう、堅牢な城・・領土なんだ。ここが一切存在があるとは言われていても、場所さえ迷路状に創生されている事自体、そう言う事なんじゃないかなと俺は思って来た」
「説得力があるよなあ・・それは、相当高い推定だ」
「今、お聞きしていて・・」
*非常に重要な事をこの時ダンは言っている。
メイ博士が今まで部外者として、リンの容態を診る為に派遣されていると、遠慮もしていたのかどうかは分からないが、この話題にかなり食いついて来たようだ。
「何でもどうぞ、自由に発言と言っているからさ・・」
シンは頷く。
「レーザー光の原理は理解しました。ならば、コーティングと言う事を私も自分の研究の中で、生物細胞にも施すと言う事をやりました。設計図、或いはAIによるシミュレーションも可能な時代です。それがどのような役目を果たすのかも、相当の実験をやった筈。そこまで仰るからには、副首班はかなりのその実験データも入手されておられるのでは?」
「はは・・嘘は言いませんよ、解析中のあらゆるA国月基地及び、アリゾナ州ソノラ砂漠のシェルター内のメモリカードはコピーし、解析中です。ただし、それはラン班長やエイジ副班長の手作業になるから、そこからショウ班長独自の解析プログラムを介しても、そう簡単に出来るデータ量では無いっす。ただし、部分的に今俺が言う鉱物組成の実験をやったらしいと言う事は、検索で引っかかって来ました。それが日本・・つまりM国に存在すれば、大きく現状は動くと思っているんですが・・」
メイ博士には敬語でダンは話をする。それは嘗てメイ博士はダンの上司的存在だった事に起因するものだが、今では彼も組織の№2である。しかし、シンが同じ年齢でも年上の者に敬語を使う事で、ダンもそうしているのであるが・・今更説明的言う話では無かったものの・・そのメイが、
「あの・・敬語は止めて頂けませんか?組織がある以上、首班の階級的上下関係は無いとは分かっていますが、せめて私に対しては、敬語を止めて下さいませんか?」
「そうっすか・・少なくてもメイ・リー博士と言う立場に対して、俺達は別格の尊厳を持っていたつもりだったが、じゃあ改めよう、メイ博士」
「まあ、ふふ。はい・・それで、皆さんと距離が縮んだような気がします。私達は3兄妹、別格と言う立場じゃないし、よそよそしいじゃないの、ダン・・うふふ」
メイは、優しい笑顔で笑った。




