第16章 危ない!
シンの言葉は毎回メンバーの心を打つ。何時も緊張状態で居ろとは言わない。しかし、一つの判断ミスは、最後の人類滅亡のシナリオである最後の決定ボタンを押すのである。マコトが提案した言葉が、こんなに重いものである事であるので、本当にくどい程シンは言う。そこからどうするのだと言う知恵を求めているのである。シンは自分がこうするとは言わない。もし心の中にそれがあったとしても、皆の意見を聞く。このメンバーは雑談である事の意義でさえも、自然に本議論に誘導されて、ぴりっと場を引き締めたのだった。
ダンが言う。
「首班の双肩に、重いものを背負わせちまっているのは、皆も知っている。だが、そこは、もう少し肩の力を抜いてくれよ、俺も副首班と言う立場。同じく重いものを背負っていると自負するし、このメンバーは自分の持てる100パーセント以上の力を発揮し、本当にここまでやって来ている連中だ。なら、俺は自分の考えを言う。鉱物的組成と言うのは、鉱物MI✕の時に既に200年以上も前に発見された事だ。各国が独自のそう言う鉱物組成を持つ。例えば、強い圧力をかけ、原子の間をぎゅうぎゅうにすれば、究極に近い形の硬い鉱物が出来るようにな、それが無限の広がりを見せるようになる。その中にA国が手中にしたのが、レーザー光を発する超硬度の鉱物組成だ。この鉱物は、約60回数の鉱物結晶網を、限られた大きさ内で繰り返す。つまり、網目状の自然界でいえば、翡翠のような網目構造だな、もっと分かりやすく言えば、糸をぐるぐる巻きにして、それを球状に仕上げる。同じ工程を限られた大きさ内で繰り返すと、分子、原子の間を埋めて超硬度の鉱物組成が出来る仕組みだ」
「だよな・・それは俺も調べていた」
「それがA国にとっての振動を与える事によって、強いレーザー光を発するレーザー原子鉱物だ。レーザー光は、光速度だからどんな武器を開発しようが、その過去のミサイルであるとか、大砲であるとか無意味だ。発射する以前にそんな武器等は破壊されちまうんだからな」
「そこで・・和良無線光ケーブル網は、その武器すら封印した?」
マコトが言うと、ダンがにこりと笑い、
「やはり隊長は戦いの天才っすね、ええ・・その通りだと俺は思うんすよ。そして同時に量子コンピュータの第5世代のAIですら、情報を入手し、分析出来る機能も備えてね」
「じゃあ・・それこそ無敵じゃないか」
「いやいや・・だからM国の中枢や、地下通信路約3割にはダメージを与えなかったんでしょう?電磁パルス爆裂が」
ダンが言うと、メイ博士が突っ込んだ。
「いえ、そこに矛盾があります。電磁パルス爆裂と、その光通信網とは、そもそも違う種のものでしょう。光通信網電磁パルス爆裂を起こさせたと言う論には強引さがありますわ」
「あいた・・そこ突かれたら弱い論拠部分っす」
ダンが苦笑する。流石にメイ博士は良く聞いていた。




