第16章 危ない!
「細胞変異については、相当数の動物群を再生する道筋がついて、かなり進んだと思います。それだけは、私もこの場で申し上げますし、アマン主査もそう遠く無い日にこちらに合流するでしょう。私もリン班長の回復を待ち、研究室に戻りますしね」
「そうっすか、それだけ聞けば、何か明るい希望が見えて来たように思う。じゃあ、余計にカンジ、この会議で検討する事案は多いと思うよな?」
「ああ・・鉱物組成と言うが、ある程度の圧力と熱とその金属・鉱物MIXの研究はもう数百年もやって来ている。また宇宙基地での鉱物資源もその一貫だからな、細胞以上に研究もされているし、むしろその分野は進んでいるんじゃないのかな」
「それは、確かにだ。特に日本がそれを地下資源独占の形でやっていたし、宇宙資源も奪取可能だった。和良式無線ケーブル以降な・・」
「え!じゃあ、その為に?」
「はは・・それも応用さ。勿論そのためだけでは無いし、情報は殆ど日本が得ていた筈さ、各国のな。要するにそれも戦略だろう?全部言わせるのか?今、ここで」
「いや・・良いよ。それは」
カンジも苦笑した。
「とにかくだ。その件はむしろ副首班の方が詳しい。つまりA国・・月基地そのものが鉱物組成の星に改良しようとしていたんだよな?」
「ええっ!」
新情報であった、まさしく今初めて聞くものであった。
「おい・・いきなり、コアな部分を公開しちまったな・・仕方が無いなあ。ああ・・そう言う事だ。鉱物の組成の事をいちいち説明もしないが、結晶をすると言う事だ。そして、その結晶の形はある程度パターン化されても居る。その原子の結びつきによって違うのさ。つまりレーザー砲と言うのは、ある鉱物に、メイ博士も実験でやったように超音波のÅによる振動で、その共鳴起こさせ熱源によるレーザー光を発する仕組みだ。A国のこの完成度は非常に高く、攻撃も守勢も兼ねていた。もうすぐA国が再び地球に君臨出来るレベルだったのさ」
「な・・何と・・」
「だよな、驚くよな、無敵のそんな武器が完成したら、もう原爆、水爆等関係ない。ピンポイントで攻撃される前に破壊しちまう訳だ。むしろ、最悪地球の領土は諦めていた訳だ」
「むう・・」
ケンシンも険しい顔になった。
「だって、宇宙戦争はもう20世紀から始まっていたんだよ、しかし国内総生産力で世界2位になっていた日本が退潮化を示して、とうとう10位以下になった時には人口減も世界的潮流で顕著になっていたし、要するに生産力は機械化の方向だ。そして資源を宇宙へと、その眼を向ける事になる。いち早く各惑星、衛星をゲットした国が世界を牛耳るんだ。それはやはり科学的側面と言うのは、武力、軍拡なんだよ。もはや、輸出入によって外貨を稼ぐ時代じゃ無くなっている。攻撃するか、されるかになって来るのは必然だと思うんだ。誰も、もはや止められない。そんな事をすれば、自国が滅びる。もう散々そんな事はここまでも議論して来ただろう?俺の話は具体的だ。つまり、その資源にいち早く眼をつけたから、広い、狭いの領土的なものはむしろ関係がない。それが月だった訳だ」
「それがA国探査の目的だった訳だよな」
マコトが言うと、ダンもここはリー博士の隣にいる、メイ博士に尋ねた。




