第16章 危ない!
「いや、そうでは無く、同等の攻撃を受けてもこちらは生身の人間では対抗も出来ないし、隊長が言うように、これで引いてしまっては、もしあちらの攻撃だとしたら有効と見なされ再び大挙して蝙蝠群が襲って来るかも知れない。その為には防御力を持ち、逆にこちらはダメージが無いと言う事を見せつける。これは戦術的な意味合いっす」
「その通りだと俺も思うし、もうこのM国の探索は一段階上がっていると見ている。つまり、何かの存在が確かにあるし、日本以外でこれだけ生物群が居る地球上の場所は、ここしか今の所発見出来ていない。貴重でもあり、また旧日本政府の研究所なのだと言う存在自体にも慎重に捜査もやって来た。しかし、蜂群、蝙蝠群とどの生物群も圧倒的な数で向かって来た。これはもっと積極的にこちらも攻撃を辞さないと言う姿勢が必要だと俺も思うんすよ」
「良く・・その辺は理解しました。では、ここにリー博士もご参加されております。例の細胞変異の部分と鉱物変異の部分の繋がりと言うか、この会議はその意味での検証なんですね。で・・私は話を戻して、鉄球を飛ばして見ましょうか?先に提案致します」
「え!鉄球を飛ばす?あれ・・素材って鉄球の事でした?」
シンも驚くが、
「いえ、本格的にやるなら鉄球では御座いませんが、製造はとても簡単です。周囲には磁鉄鉱の鉱物も豊富ですし、すぐ4Dプリンタでも製造可能ですしね」
「ふ・・はは。やりましょう。飛ばすだけなら、幾らでも可能だ。つまり、そう言う部分でこちらも物量がある事を見せつける訳ですか。それなら分析時間も掛けられる」
「それ!是非やって欲しい」
マコトが声を挙げた。
「では・・決定っす。幹部連中には事後報告しときますよ、この件は」
「はい、早速指示を出しておきます」
この場で即断したのであった。
「驚いた・・こうして即断即決されるんですね」
リー博士も眼を丸くした。
「いや・・それまでに十分検討している筈っすよ。な?」
カンジが言うと、シン達もにやりとして、何も言わないが肯定しているようだった。無駄な会議などシンにとっては何一つないのだ。その超高速回転の頭脳の中では、ありとあらゆる情報が組み立てられる。まるで量子コンピュータのようだと、一度コウタが言った事がある。つまり、そう言った鉱物的組成が人類に組み込まれているのか・・そう言う話題になりそうだ。そんな予感がしていた。




