第16章 危ない!
「もうカンジから出たように、或いはそうなのかも知れないと言うある情報はあった。今回そう言う話が出た事と、この調査の推移、出来事からもかなり信憑性の高い話だ。ここにリー博士も居るから、細胞変異の研究部門と、鉱物組成の変異研究は同時進行で始められたと思われる。思われると言うのは、確証は無かったからだし、今この話をする段階においてもあったとは証明出来ない。だが、かなり確率的にはあがったと言える」
シンが言うと、誰も反論もしなかった。コウタが居れば突っ込みがまず入っている話だ。
「パネルがある。見て欲しい」
「パネル?」
そんな存在が?ダンすら眼を剥いた。とにかく彼等の会話は何時もどんな方向に行くのか読めないのだ。その理由がやはりシンのとんでもない情報力と、状況理解力であろう。何時も何かのタイミングを待っていたように、周囲がそう言う形で埋まって来ると、どんと情報を出すような形になる。
「そうだ。どんな会議においても、全ての情報を開示している訳では無い。その瞬間までの積み上がった経緯により、開示すべきもの、或いはまだまだ開示出来ないものがあるだろう。つまり、今回はその前者だと思って貰いたい」
「でも、とても重要な会議になると思うが?幹部会議では無いのか?」
「今は作業班、分析班を兼ねる。そう思って貰いたい」
「成程・・」
会議に余り慣れない様子のリー博士だった。再び先程の部屋に戻り、いきなり会議を始めるシンの言葉に、一同は頷いた。つまり検討・分析会議なのである。これを発表するのはまだ先になると言う意味だ。それなら、色んな意見も出しやすい。むしろシンが多用するのは、このような会議なのだ。それによって、直接互いに話をする事はとても重要だと考えているし、そのお陰で色んな解決の道筋も立って来た。
「まあ、雑談形式で、今度はリー博士にも参加して貰うのでリンの状態も見たし、何とか一安心って所で良いのかな・・どう?リー博士。メイ博士からも色々情報は得ているとは思うけど」
「え・・はい。もともと身体的ダメージでは無かったので。ただし、心の内部と言うのとても複雑です。今回ダメージを受けなかった訳では無いのです。物理的に超音波攻撃をされたと言う事らしいですから」
「うん・・それについては、リンが発した大音量の拡声機に相当数の蝙蝠が撃退した。また後退させた事は機転の成果だと思うが、確かに蝙蝠群後方から特殊な音域の超音波が発せられたのも確かだ。分析も今やって貰っているが、まだその分析は出来ては居ないんだよね」
「じゃあ、そんな段階で探索に行くと言われたんでしょうか」
ケンシンが首を傾げる。




