第16章 危ない!
「いやいや・・そんな事は、だからここに居る3人には分かっているだろう。だから、俺が言いたい事は、オウム返しに遭ったその金属変異の仕組みがある中で、どうやって探索を開始するのかって事だ。また、誤解されかねないが、隊長がリンを襲った蝙蝠群やその指揮をしたのでは無いかと言う存在について、探索をやりたいと願い出る場面は俺が感じていたからさ」
「ふ・・やっぱりな。だが、話をここまで聞いてきたら、成程、それは念写で無くても、カンジのシンに劣らぬ分析、先読みの中で想定できる。つまり、最初にそう言う事は是非言っておきたかった訳だ」
ダンが頷くと、何となくマコトにも理解出来た。このように、どこかで特異発現等と言う言葉を使うが、個々の能力の強弱はあれど、過去世の先祖が遺伝子的にそう言う自然繁殖力を失ってしまう人類に対し、長寿、活動年齢の延長、更には既に研究が進んでいたように、自分自身をも生み出す変異細胞、更には肉体を鉱物的組成に変化させる研究もして来たのだと分かって来たのだ。それをカンジがはっきりと言葉にした。シン達にして見れば、それは確定したものでは無いのだから、まずは防御を整えても探索はしなければならないと言う話をしていたのである。そこをズバッと切り込んで来たのだ。
「じゃあ・・リンの事は回復するのは確実だとお前は言う訳か」
シンが言うと、
「ああ・・確実にリンは戻って来る。それにとても重要な情報を得てな。だから、隊長、ここはもう少し待つべきだと俺は思うんすよ。部長も素材の件は、確かに非常にベストマッチングだとは思うけど、やはりがちがちに守りを固めた状態でそれをやっても、何らの成果も出ないと思うんす、そこは首班の判断だ」
「うん・・じゃあ、もう少し待つか、そしてリンの部屋に全員で行こう。カンジが来た事で、あいつに何か変化が起きている。俺は今の話でそう感じた」
「おっとっと・・それこそカンジに負けない念写か、先読みだな」
ダンが眼を丸くした。
「ふ・・だから、首班と話をする時には、色んな情報もまず話しておく必要があると思っている。じゃあ、リー博士も診立ては同じだから、リンの顔を見たらもっと良く分かると思う。数時間前とは明らかに違う筈だ。隊長はこの3、4日リンと会っていないでしょう?」
「そこまで・・分かるのか?カンジ、お前」
「何をびっくりした顔をしているんすか、そんなのメイ博士に聞いたら分かるじゃないっすか?俺、重ね重ね言っておくけど、超能力とかそんなもの恐らく違うと思うっすよ?自分が否定的立場なんすから」
「あはは・・分かった、分かった。カンジ、お前も神秘的な話の仕方をやるし、先読みのようなものもあるし、念写と言うのは、どうしてもそっち方面のものになっちまうからな」
マコトが言うと、カンジはにこりとした。




