第16章 危ない!
「申し訳ありません、確かにそうでしたね。私は、つい自分の取り組みを熱く語ってしまいました」
ケンシンが詫びるが、マコトが首を降る。
「いえ、そんなつもりは全く無いし、だから口も挟まず黙って聞いていたが、おい、副首班、俺がぼんやりしているんじゃ無いかと見て、時々視線を向けていたが、そう言う意図だったのか?」
「おっと・・ふ。リンと同じく、やっぱり隊長も五感で生きている人っすね。はい、正直そう思ったっすよ。でも、怒らないで頂きたい。会話と言うのは聞き役じゃなく、積極的に参加するもんだと思っているんすよ。この際だから言わせて頂くが、隊長は必ず一歩を引いている。それだけ優秀な人であり、会話の中身も理解もしているのに、どうして突っ込むべきとこで意見を出さないんすか?そこは改めて欲しいっす」
ダンが言う。だがシンは、
「副首班・・だから、今言った鉱物自動変成?自動変異の話の部分じゃないか。そして、それこそが、部長の肝と言うか・・今から説明を受ける部分であり、重要な部分だと思うから一連の話をされたんだよ。俺は、隊長がじっくり聞いて来たと言うスタンスは別に悪くないと思うがな」
「まあまあ・・」
ケンシンが苦笑いする。何時もこんなやりとりをするのだ、彼らは・・。そして、ここでの会話が何か大きな示唆をしている事を感じ始めていた。つまり彼らは会話の中からとてもこの先に繋がる重大な情報がある事に気づき始めていた。そこへ連絡が・・リー博士からだ。
「よろしいですか!カンジ班長が到着され、今話を聞いておりました」
シンは何かをその連絡にも感じた。そして、
「リンの様子に何か変化が?」
「いえ、状態に変化はありませんが、カンジ班長が首班はどこだと聞かれたのと、私もお話があります」
ダンが、
「ここに呼ぼう・・部長の話は途中だが、構わないっすよね?」
「え・・ええ・・」
ケンシンもマコトも少し戸惑うが、シンはすぐ頷いた。




