第16章 危ない!
「データが解析できたようです。それをお伝えする為に来ましたので」
そう言うと、彼女はすぐ自分の与えられているスペースに戻って行った。勿論隣はリンの病室代わりになっている部屋だった。
シン達は、データを受け取ると、一面にそれを5次元的照射をすると、そのデータが現れた。
「これは・・すげえ細かい分析だが・・」
3人は困惑した。数字の羅列だけを見ても分からないので、困惑している所に、ケンシンより伝言が入った。
「あ・・展開をしていただけたんですね、丁度こちらにそのデータを開いた段階で、通信が入る形になっていましたので。では、私が説明を致します」
そう言う事か・・相変わらず行き届いた配慮だとシンは感心しながら、数字の羅列をいかに御したら良いのか戸惑っていたタイミングだったので、表情も明るくなった。
ケンシンは、細かく分析した数値を説明し始めた。それにより、リンが発するホーミーは一種のリズムであり、音楽に近かった。彼がかなりの音域まで駆使し、且つ聞こえる範囲も通常の人間より遥かに幅がある事も分かっていたが、数値的に証明出来た形だ。ケンシンは、
「このように、拡声器で強弱をつけたとしても、音域・波長が変わる訳では無いんです。数値は違えども、波が大きくなるだけで、比例値は同じです」
「成程・・では、この最大音によって対象の鼓膜が破れたりする事って・・?」
「それはあるでしょうね。鼓膜は、そもそもその振動を受けて音を脳内に伝達するものですから、大音量にて鼓膜の揺れ幅が大きくなれば、破れる事や脳が受動出来ないようになるでしょう」
「だから、蝙蝠の数頭・・いや数匹は気絶して落ちたと見て間違いないな」
シンとダンは頷いた。そんな事は分かっているじゃないかと言う顔のマコトだった。
「はい、ほぼそのように考えますが、次にその蝙蝠が発した波長のデータです」
今度は、マコトも身を乗り出した。その中に様々な音源や波長の違いにより互いの暗号があると思っているからだ。
「通常の蝙蝠における音源は45キロヘルツから100キロヘルツです。この蝙蝠においてもほぼその音域に多少の上下、ぶれはあってもほぼ変わらないと思います。むしろ、皆様もご存知のように、私はこちらの専門家でありますから、資料も御座います」
「はい、その辺をこちらも承知で分析を願った訳です」
「通常、もう少し低い30キロヘルツになると、1秒間に3万回もの振動がある訳ですから、人間の耳には聞こえません」
「え・・だってリンは」
マコトが言うが、ケンシンはそこは否定した。




