第16章 危ない!
「それは、リンの判断だ。俺には聞こえない音源の事まで理解不能だからな」
「ええ、勿論リンの勘と言うか、その辺の判断に異は唱えて無いっすよ。彼に任せてあるし、誰もその領域で動ける者も居ない。その直後に、何者かの反撃?或いは攻撃があったかどうかの事を言っているんすよね」
「明らかに俺は攻撃だと思っている」
「だから、こっちにとっては相手に再び攻撃を受けないように反撃するって言う持論を展開しているんすよね」
「ああ、勿論俺は提案だけだ。それを却下しようがしまいがは、そちらの判断だ」
少し遅々として進まぬやりとりに、憮然とした表情を見せたマコトだった。
「いやいやいや・・そこで怒ってどうするんすか?俺が聞いているのは、どう言うやり方でどうしようかと言う話をずっと聞いているのに、そこで隊長が話を切ってどうするんだよって話っすよ、違います?」
「あ、済まん。俺自身が上手く言えなくてさ、それで自分に腹が立って来て・・首班達に腹を立てている訳じゃないんだ」
「ふ・・良いっすよ。色んな調査の過程も聞いた。そして、何となく言わんとする事も分かって来たんで。無人機を出す方向は検討しましょう」
「え!」
マコトとダンが眼を開いた。
「いや、確か俺達が直面しているのはまさしく戦争なんす。戦時状態に置かれている今、俺達が優位に居られる事なんて本来皆無なんす。だから、待っているより進もうと言うのがスタンスですから、今回の考えは、まさにそこに当てはまる。ただ、以前危惧したように無謀な蛮勇による挑戦なら許可はしません。しかし、その中に部長に相談したり、今回の録音や周囲に対するかなりの調査資料もあると見ました。なら、ここは我々も含めて検討しようじゃ無いっすか。もう遮蔽版は工事が終わった模様です。その為に時間も必要だった。これは防御と言うよりも攻撃をさせない。積極的な戦略ですからね」
「おうっ!」
マコトの眼が輝いた。
「ふ・・では、別室で検討するか」
ダンが言うと、メイ博士が入って来た。
「あ・・リンの様子は?」
すぐダンとマコトが聞く。メイは、
「診察通りでしたら、体の方は健康ですし、普通に耳の方も聞こえるようです。一時的ショック状態にはありますが、回復されるに違いありません」
「そうっすか!良かった」
ただし、いつ回復されるのかの診立ては無かった。精神的なダメージであれば数値化では無い。メイは、




