第16章 危ない!
「で・・俺は通常機に乗っている。そのせいでは無いにしても、リンの後方に居た俺には、ダメージが無かった。つまり、音域は幅広く波状に来たんじゃなくて、スポット的に一点集中でリンに向かって来たんじゃないかと思った」
「待って・・通常光と違い音波と言うのは波状に球状に広がるものじゃ無いっすかね。そんな超音波があるとしたら、それこそとんでも無い事だけど」
しかし、マコトはダンその言葉に反論をする。
「いや、だからこそ検証したいんだよ」
「それって・・科学的根拠は無いっすよね、つまり勘でしょうに・・」
ダンが呆れてマコトに厳しい顔を・・。
「ああ・・自分でもさ、もやもやっとした気がある。だが、そのもやもやを解消する為には無人機でも良いんだ。もし、その対象が存在している可能性がある今、こちらにはダメージが無いと言う事を見せつけとかないと、相手に有効だと思わせたく無いんだよ」
「つまり、戦略的に?そう言う意味っすか?」
シンが問う。
「ああ・・今回のリンに対した攻撃か、反撃なのかは分からないが、このまま俺達が動かずに居たら、有効だと相手に思われてしまう。それにずっと存在があったのに、攻撃も蜂集団の時には確かに、その対象が関与しているのかどうかは分からないまでも、起きた。とんでも無い事態でもあった。しかし、恐らくそれは警鐘の意味も含めているのだとしたら、完全に今回の事はその対象によるものだ。ならば、俺達の基地そのものが今後攻撃対象になる。ここまで俺達がどうにかやれて来たのは、相手にとって脅威とは映っていなかった事だと思うし、無視していた部分もあるのだろうと思った」
「成程・・そう言う見識であるのならば、俺も無碍に拒絶する案件では無くなりますよ」
シンが言うと、おっとと言う顔でダンが彼を見つめた。だが、シンは言う。
「で・・確かにその超音波攻撃は乗り物や施設を破戒はしなかった。しかし、物量攻撃による蝙蝠のサンプルは今分析中っす。その間に俺が言いたいのは、無人機で闇雲に突っ込むと言う中に、策略があるんすか?単に今でも無人機は飛び回っているし、蝙蝠に襲われても、現速度では、捉えきられないとは思うものの、挟撃されたらどうにもならないっすからね」
「ああ・・じゃあ聞いてくれると理解して、俺が思う事を言う。リンが発した拡声型超音波については録音がしてある。それについては、ある実験をこのM国でやって来た。ホーミーの限界と、もし遠方にあってもそれが届くように拡声した実験だ。俺達は待機の時にリンの発案によって、やって来たんだ」




