第16章 危ない!
「どうもっす・・」
少し緊張しているのはケイジだ。シンがとても鋭い人間で、何故首班の位置に居るのか、第14班の端切れメンバーになってから特にそう思うようになったのだ。勿論、今では以前のような組織に不信も全く持っていないし、今では尊敬する人であった。彼の緊張はそう言う事である。
シンがマコトに質問をしている。
「ふうん・・隊長は後方待機で、今回は何度かもう行っている少し奥まで進んだ訳っすね」
「ああ・・副首班や、ランの救援機が来た通信路とは、PM第6DRの壁を開けたから枝状の何と言うのかな、自然形成の晶洞にような場所だからな」
「前にそう言えば、ペグマタイトの水晶とか長石の晶洞を隊長は見つけたっすよね。斜抗を抜いている時でした」
「うん、それと同じような晶洞だと思う。多分もう副首班は早速調べているだろう」
「ええ・・当然調べていますが、なにせ、また蝙蝠が出現したらどうしようも無いっすからね。とんでも無い数だった」
「この地下は、無数の晶洞が抜けていて、それらの延長距離の合計は数千キロに達すると言う。無人MRでも進入出来ない場所も無数だし、今回ように壁を叩いたら、ぽこっと晶洞が現れたと言うような場所は、数えきれない位あると思う」
シンは頷きながら、
「ですよね。ですから、どこに蝙蝠が隠れていても不思議は無かったと思いますし、食料となる恐らくカマドウマ風の昆虫は、無限に近い位生息しておりますから、その食に関しての問題は無かったのでしょう」
「それも、今回の蝙蝠の死骸を、割と大き目のヤモリが食っていたからな、もう跡形もなくそれも無い」
シンは頷いた。
マコトがここで、
「画像解析をしているとは思うが・・」
「ん?隊長、何か気になる事があるっすか?」
「少し気になった事が何度かあって、リンとも話はしていたんだ。だから、俺達もリンが行動する際には後方支援・・今回はどうにもならなかったが・・済まん!」
マコトは謝るが、それはどうしようも無い事だ。誰も予期も出来ず、無謀に新晶洞内に侵入した訳では無かった。それ以上責められるものも無い。




