第16章 危ない!
「リンが危ない!隊長!すぐ救援に!」
「分かった!だが、何も状況が分からない」
すぐきっと表情を引き締め反応したマコトだが、困惑した。
「俺も連れて行ってくれますよね?」
ケイジが言うが、
「いや・・何か危険な気がする。お前は留守番だ」
マコトが言うと、ケイジは首を振る。
「いや、救援にしても緊急事態には、1人でも多くの知恵が要ると思うっす。当然MRは防御網を敷いている筈だと思うんすが、最近リン班長はずっと地下奥地で探索をやってたっすからね。俺も気になっていました」
「そうか・・お前は俺の今や補佐と言える立場にまでなっている。頑丈なSRで行くぞ。どんどん開発も進み、新型プリンタがとにかく次々と旧型の改良を日々行っているそうだからな」
こうしてマコト達は救援に向かうのだった。シン達も当然本部で様々な指令を行いながら、ランを呼びだしていた。ここはアバター操作で危ないと言うランに対して護衛をする為だ。
「何が・・起こったんだ」
咄嗟には何も聞かされていなかったランには、事態が飲み込めなかった。そして副首班であるダンは、現地にミナミを伴いもう出発していると言うのだ。それも上空から超高速移動だ。危険な航法だと今まで敬遠されていたが、この緊急事態の中では身体能力と判断力全てを持つダンしか適任は居なかっただろう。
一体何が起こったのか・・
リンの周囲には夥しい蝙蝠が地下の空間を埋めるように取り囲んでいた。彼が予想した通り、一か所の空間にまるで当たり前にそこに存在していたかのようにそれは居たのである。しかも、その蝙蝠群は何者かに操られているように、実に正確にリンを狙い撃ちをするように攻撃を仕掛けている。リンの周囲にも50機に余るMRが防御網を敷いているものの、大群にはどうしようも無かった。リンは超音波発信も行ったが、この蝙蝠群には通用しないようだ。周波数も可能な限り変えては見たが、どうしようもなく次第に押されて行く。
「まずいな・・これ程攻撃力を持っているとは・・」
流石のリンも引くも進むも出来ない状況下で、通信はやっているものの、眼前は真っ黒に染まった蝙蝠群にだった。




