第15章 恐るべき計画
「やあ・・今日はどんよりとした空だ。雨季に入っているとは言え、今副首班が居る中央基地以北は乾季でもある。不思議だよね、俺達ってその昔を情報でしか知らないが、そんな気候では無かったんだよね。温暖化か或いは、地球の地軸が傾いた程の大きな亀裂噴火=スーパーボルケーノ級のものが世界各地で起きたと言うことが今では言われているが、それは富士山や、桜島、阿蘇山を見ても明らかだ。大変な事が同時多発的に起きたんだよねえ・・なのに、人間ときたらどうしてこの現状を避けられないものとしても、戦いを止めなかったんだろうかなあ」
アマンは答えた。そう言う話題がかなり話し合われていたのだろう。それは今後自分達のスタンスともなるからだ。
「止められ無かったのでしょうね。一個人である場合の意見、考え方と、組織であるからの法規によって、そこでは個人感はどうにも出来ない背景があったのでしょう」
「うん・・だよね。組織と言うのは法で縛るんだ。どうしてもそうなる運命だ。かと言って人間と言うのは、集団で無ければ生きられない。俺たちはT猿人のように文明なんて放棄していた方が幸せかも知れないよね」
「確かに・・言われる事は理解しますが、既に知恵と利便を得た人間がそこで満足出来るかどうかですわよね」
「あはは・・そう!その通りなんだよ」
シンは笑った。幹部会議ではそう言う話題も出たのだろう。アマンは、
「少し報告があります」
「あ・・うん、中で・・」
シンがアマンとリンのマッチングでは、相当な事が話されたのだろうと思っている。シンから見れば、この2人はやはり突出した能力の持ち主だ。しかし、それをいちいち指示をしなくても判断が出来る貴重な人材だと思っている。
アマンは、静かな口調で、シンに向かい合うと、短く言った。
「何故・・最初にM国探索時に出現した蝙蝠について、調査をしなかったのですか?」
「あ・・その件は・・最近まで封印されていたんだよね。リンが君に依頼したの?」
「はい・・」
「そうか・・いや、そうだろうな。この蝙蝠が大変な数だったのに、その後全く姿を見せていない事もあったし、結構でかいんだよね、オオコウモリまでの大きさは無いもののかなりの数と大きさだった」
「何故?とここで聞いてもよろしいですか?その分析は室長の所なんですよね?」
「ああ・・俺がその分析結果を封印していた。勿論考えがあっての事だが、リンが君に分析を託したのは、もう隠せる事では無さそうだしね。実際、その話題は一切無かっただろ?ヤモリとか、カマドウマの事は十分調べても居るが・」




